阪神首脳陣が今春キャンプでランディ・メッセンジャー投手(33)に“陰のコーチ”就任を要請することになった。昨季13勝(10敗)を挙げて自身初の最多勝のタイトルを獲得した助っ人エースに、若手育成面でも一役買ってほしいというもの。この裏には“メッセの眼力”のすごさもあった。

 阪神の沖縄・宜野座キャンプにはOB・江夏豊氏(66)が臨時コーチで参加するが、新たにコーチ役を務めるのは“伝説の左腕”だけではない。虎首脳陣は、頼れる助っ人エース・メッセンジャーに“陰のコーチ”就任を要請するという。

 山口投手コーチがこう話す。「メッセはあれだけ投げていてここまでケガを一切していない。よく鍛えていることもあるし、体の使い方がうまいということ。ルーキーには見習わせたいし、メッセも(来日)6年目。(キャンプでも)後輩に、もっとアドバイスをしてほしい」

 これまでもメッセンジャーは藤浪ら若手投手の兄貴分だった。それを今年はさらに踏み込んで若手への本格指導をお願いするわけだが、理由はもうひとつ。それが“メッセの眼力”のすごさという。「一昨年は藤浪、昨年は梅野。メッセが注目した選手は必ずブレークしている。梅野についても昨年のキャンプ直後のオープン戦ぐらいから『彼は将来の正捕手になる』と言っていたからね」(球団関係者)

 一昨年、メッセンジャーはキャンプの段階で「藤浪はいける」と断言したところ、その通り、藤浪は1年目から大活躍。昨年の梅野にしても当時はDeNAから獲得した鶴岡、ベテランの藤井らがおり、捕手争いに食い込むのは難しいと見られていたが、あの田淵幸一氏以来45年ぶりの開幕戦出場を果たすなど92試合に出場。打率1割9分7厘ながら7本塁打、21打点と成長株の一人となった。その“眼力”を“陰のコーチ”として、これまで以上に、というわけだ。

「チームのために最大限の努力をしていく」と宣言していたメッセンジャーだけに、今回の要請もOKするとみられる。若手育成、成長株の発掘というマウンド以外での活躍にも注目だ。