巨人が昨年とは正反対の“方針転換”でキャンプ初日を迎えそうだ。2014年は、原辰徳監督(56)の「2月1日から全力で走り、全力で投げられる準備をしてくれ」の大号令のもと、投手陣全員がブルペン入りしたが、今年は一転、各投手の意思に任せるという。その背景には何があったのか。そこには首脳陣が懸念する、ある問題があった。

 2月から始まる春季キャンプに向けたコーチ会議が14日、ジャイアンツ球場で行われた。15日には原監督や球団フロントを交えたスタッフ会議が行われるため、この日は首脳陣の方針確認が主となった。

 昨年はナインの競争心をあおるべく、指揮官から“2月1日から全力指令”が発せられた。特に投手陣は全員がブルペン入りするという異例の光景が繰り広げられただけに、初日の動きが注目されたが、斎藤投手コーチは「投げられるように準備しておくことは必要だけど、2月1日に投げればいいのかというと、そうでもない。菅野が(キャンプ初日は)投げないと言っているらしいけど、それもいいんじゃないかと思いますよ。若い投手がそれでは困るけど、立場に応じて強弱つけてくれればいい」と、一転して個々のペースに一任する方針を示した。

 原監督は今年のキャンプへの取り組みについて「ゼロからのスタート」「2月1日より一日一日を大事に、固定観念を持たずに」と語ってはいるものの、具体的な指令は出してはいない。だが、昨年とは180度といっていいほどの方針転換の背景には、何があるのか…。「投手陣がそれぞれに抱える不安とか蓄積疲労が、まだ解消されていない、と首脳陣が判断したからだろう」とはチーム関係者だ。

 昨季は3連覇こそ果たしたものの、春季キャンプ3日目に澤村が右肩の違和感で早々に離脱。シーズン中も内海、菅野と主力が相次いで負傷し、シーズン後には「鉄腕」といわれた山口の左ヒジ故障が発覚した。前出の関係者は「首脳陣の中には、連覇した13年の疲労が抜け切れていなかったことを原因に挙げた人もいた。確かに優勝がかかる試合と、そうでない時の(投球時における)力の入れ具合は明らかに違うし、プレー期間も長い。その状態を2年連続でやったうえで、14年のキャンプを初日から全力で入ったわけだからね。そういったことを斎藤コーチは総合的に判断したようだ」と代弁した。

 斎藤コーチは、リハビリ中の山口について「順調とは聞いているが、バリバリやらせていいのかというのは考えているところ。彼は特別な選手。多少の特別待遇は“あり”だと考えている。もちろん監督が『だめだ』といえばだめだけど」と語った。故障者続出となった昨年と同じことをやっていては世話はない。昨年と違うキャンプになることは間違いないか。