“崖っぷちの男”大田の「人生を賭けた」ひと振り

2012年09月02日 12時01分

 ドラ1男が意地の3安打3打点! 首位・巨人は1日、最下位・DeNA戦(東京ドーム)に9―1で圧勝。V奪回へ9月好発進となった。投げてはホールトンが8回1失点の好投で、2年連続となる2ケタ勝利。だがこの日、ゲームの流れを決めたのは“崖っぷちの男”4年目・大田の「人生を賭けた」ひと振りだった。

 

 

 5回裏、3安打目となる2点二塁打を放った直後、塁上に立った大田の表情に笑顔はなかった。むしろ「ここから始まる」という決意すらにじませていた。

 

 試合前、原監督から「人生賭けてみろ」とゲキを飛ばされた。用意されたのは一軍昇格即スタメンという最高の舞台。これに大田は応えた。第1打席は2回一死一、三塁。DeNA先発・田中の甘い直球を見逃さず、中前へ先制適時打を放つ。4回の第2打席は初球の内角スライダーを鋭く振り抜き、左前に運んだ。

 

 2008年、鳴り物入りで巨人入団。栄光の背番号55を背負ったものの、ここ3年は泣かず飛ばず。ボールを飛ばす力は超一流にもかかわらず、飛ばせるポイントにボールは来ない。悩みに悩む日々が続いた。そこでようやくたどり着いた境地が「来た球を打つだけではいけない」だった。 「打席に入って頭を使うようになった。変化球を一球見逃したりして、自分有利なカウントに持っていく、そういうところを勉強した」。この日、早いカウントから打ちにいったのも「僕みたいな打者には、甘いボールはなかなか来ない場合がある。甘い高い最初の球を打つ意識で(打席に入った)」と、大田なりの根拠に基づいたものだった。

 

 愛弟子・大田の活躍に、指揮官は「今日は非常に良かったですね。ゲームにこれだけはつらつと、というのは私の夢にまで見たところ。久々の一軍でいいスタートを切った」と頬を緩ませたが、すぐさま「あまりほめる必要はない。彼も4年目、立派な野球人として歩んでいかないと。1年生ならば賛辞を送りたいが、さらに気を引き締めてほしい」と切り替えた。その後も、大田に関する質問が出たが「あれだけ振り込んできたのだから偶然ではない。この打った喜び、歓喜という部分を続けてほしい。本当の意味のスタート」とさらなる奮起をうながした。

 

 期待され続けてはや4年。優勝するための戦力となりうるか、大田の真価が問われる。