阪神・藤浪晋太郎投手(20)がこじ開けた“風穴”が、周囲の若虎を刺激している。「俺たちも活躍して自由を手に入れるぞ!」とやる気をみなぎらせているのだ。鳴尾浜から飛び出し、広島・前田との合同自主トレを控える藤浪。ステップアップを続ける姿を若虎たちも指をくわえて見ているわけにはいかない。

 藤浪がこじ開けた“風穴”…。それは高卒なら3年目、大卒なら1年目まで、オフの期間は鳴尾浜の球団施設での自主トレが原則になっていることだ。鳴尾浜は設備や食事も充実しており、ケガなどのトラブルにも迅速に対応できるため、経験の浅い若手選手には最適な環境。とはいえ、一方で「自由が欲しい」との思いも若虎にくすぶっている。

 そんな中、3年目を迎える藤浪は球団に広島・前田との合同自主トレを直訴し、その活躍やチームへの貢献度から異例とも言える“脱・鳴尾浜”を認められた。今月中旬からのスタートに向け、藤浪は「トレーニング中心になると思う。ネットピッチとかができればやりたい」と意欲を見せる。

 そんな藤浪を見て闘志を燃やしているのが若虎たちだ。ある若手選手は「強化指定の期間でも頑張って一軍で活躍すれば、自分たちも他球団の選手と合同自主トレができるということ。藤浪が道を作ったわけだし、他の選手もそうできるようにやる気が出るのは当然でしょう」と目を輝かせる。

 そればかりか「やはり人脈作りは大事だと痛感した。藤浪は一軍で活躍してオールスターや日本代表で人脈を作った。そのおかげで(前田と)合同自主トレができる。強化指定を外れても、一軍で活躍して人脈を作らないと他球団の選手と合同自主トレはできない。さらにレベルアップするためにも活躍して人脈を作らないと」(別の選手)と着実な藤浪の歩みを見習うつもりだ。

 好きな場所で好きな相手とトレーニングを行いたい…。藤浪がこじ開けた風穴が、そんな若虎への“追い風”となり、チーム底上げのきっかけとなりそうだ。