ジョン・ベーカー 苦節7年間のマイナー生活

2015年01月07日 11時00分

元局アナ 青池奈津子「メジャー オフ通信」

 

【ジョン・ベーカー捕手】「それまで一生懸命やってきたことに意味があると証明したかった。1試合でいい。それが僕にとって最も大事だった」

 

 そう語ったのはマイナーで7年間の苦行を経て、2008年にメジャーデビューを果たした捕手のジョン・ベーカー。もともと、野球選手になりたいという夢を抱いたことはなかったという。

 

「野球で奨学金がもらえなかったから、カリフォルニア大バークレー校で、普通に入部届を出したんだ。野球部に入れた後は、ちゃんと単位を取って卒業することが目的だったよ。歴史あるチームで、先輩方がいろんな分野で仕事をしていたから、どこにでもコネがあった。いい仕事に就くための簡単なルートだった」

 

 02年にアスレチックスからドラフトされて、思ってもいなかった野球選手への道が開かれた。しかし2年がたち、最初にもらった契約金が底をついてもメジャーへの扉は閉ざされたまま。いや、その後5年も同じ状況のままだった。マイナーリーガーの多くがそうであるように、ジョンはパートタイムの仕事でなんとか家計を支える。

 

「メジャーに上がる前年のオフシーズン、仕事を2つ掛け持ちしていたのを覚えているよ。妻が小学4年生を(教師として)教えていた小学校でのデスクワークと、そして子供たちに野球を教える仕事さ。朝6時半から学校へ行って午後3時半に終わると一旦家へ帰って食事を取り、午後4時半から野球場で子供たちと一緒に日が落ちる午後7時ごろまで練習していたから、自分のトレーニングは毎朝3時半に起きて学校の前にやっていたんだ。それを3か月半。ソファに座ってテレビを見る時間も大好きな本を読むこともギターを弾くこともできなかった。マイナーにいる間は、月2000ドル(約24万円)の給料を5か月しかもらえない。だから何かを諦めるのは当然だった」

 

 そこまでして食らいついてきたメジャーへの夢だったが、08年7月、テキサス州ラウンドロックでの遠征中にジョンの心を大きく揺さぶる出来事が起こる。

 

「チームのオフィスに呼ばれて『リーグのコーチ陣、満場一致で、君を(マイナーリーグの)オールスターに選出したよ』って。でも、『メジャーからマイク・ラベロ(捕手)が降格してくるから、試合には彼が出ることになる』と。殴打を食らった気分だった。自分がマイナーリーグで一番良い選手だって言われたのに、これからはもう試合に出られないって…」

 

 もう無理かもしれない――。心が折れかかったジョンはブルペンに横たわって放心した。

 

 =続く=

 

 

 ☆ジョン・ベーカー 1981年1月20日生まれ。33歳。米カリフォルニア州アラメダ出身。身長185センチ。体重98キロ。右投げ左打ち。2002年にドラフト指名されたアスレチックスへ入団。07年3月にマーリンズへトレードされ、08年7月にメジャーデビュー。右ヒジを痛めて10年オフにトミー・ジョン手術を受けた。11年オフにパドレスへ移籍。その後はドジャース(マイナー)を経て14年の昨季はカブスとメジャー契約。和田がメジャー初勝利を挙げた7月28日のロッキーズ戦で先発マスク。現在はFA。