ソフトバンクの2014年リーグ優勝、日本一の立役者といえば、大隣憲司投手(30)だろう。国指定の難病・黄色靱帯骨化症からの復活を果たし、終盤は大事な試合で好投の連続。だが、左腕はまだまだ満足していない。昨年を振り返るとともに、今季に向けての熱い思いのすべてを大隣が本紙に語った。
――昨季は7月に黄色靱帯骨化症から復帰して以降、大活躍。優勝を決めたシーズン最終戦、クライマックスシリーズの初戦と最終戦、日本シリーズと大一番で好投した
大隣:本当にここまで結果が出るというか、安定した投球ができるというのは自分の中で思っていなかったですね。自分の投球ができて、最後の最後で秋山監督に信頼してもらい(大事な試合の先発を)任せてもらった。本当にうれしかったですね。結果を出せたことは自信になったし、15年につながる数か月間だったと思います。
――自分が想像していた以上の投球ができた
大隣:三軍、二軍と上がっていく中で課題がなくなったわけではなかったですからね。イニングに対してのヒットが、6回投げたら6安打とか、それ以上の時もあったので…。そういうところが自分の中で引っかかっていました。だから(一軍で)こういう投球ができるというのは想像してなかったですね。
――自信を持てたのは
大隣:やっぱり、完封した時(9月16日のオリックス戦、京セラドーム)くらいからですかね。自分の中でボールも戻りつつありましたし、自分らしい投球がはまってきた部分がありましたね。ブレというか誤差がなくなった。本当に自分の思い描いている球筋でキャッチャーミットに入っていた。(捕手の)細川さんが要求するボール、自分が思い描いて投げているボールが一致している部分が多かったですからね。体が変わったことに対していい方向に向いているのかな、というのを感じましたね。
――難病からの復活だけに反響も大きかった
大隣:復帰してからツイッターを再開したんですけど、それからフォロワーが一気に増え始めたんですよ。いろんなコメントをもらいましたし、街でもいろんな声をかけてもらえました。そのひと言、ひと言が自分の中で力になりましたね。こんなに大勢の人が応援してくれているんだなと思いましたし…。本当に皆さんに感謝したいですね。
――今季の目標に1年間ローテーションを守ることを挙げている
大隣:(昨年は一軍で投げたのが)3か月間ですけど(復帰当初は)中8日だったり、中10日だったり、気を使ってもらいながら投げていましたからね。自分の中では中6日でも大丈夫という感じはあったし、緊迫した中で最後のほうは投げたことによって体も戻ってきていると思います。その中で得た自信というのも体に関してはありました。しっかりとやっていける、という思いは自分の中であります。
――ローテを守ることにはこだわりたい
大隣:やっぱり1年間ローテを守り抜いて結果がついてきて、そこで僕はゴールというか、まあ通過点なんですけどね。復活は復活でいいと思うんですけど、自分の中ではそこ(1年間ローテで回ること)で区切りをつけたいというか。病気のことも、自分の中で忘れたいというか、もう病気から復活してどうこうというのは昨年で終わりにしたいという気持ちは強いですね。みんなと一緒にスタートを切って、その争いに勝ち抜いていくというのが自分の中の目標だし。
――「難病から復活した大隣」はもう終わりにしたい
大隣:自分の投球だったり体のことは自分が一番分かっていますからね。最初は(難病からの復活と)言ってもらえて、そこに逃げる自分もあったので…。病気したからどうこうというのは自分の中で区切りをつけたいというか、もう復帰したことは間違いないので、ここからは自分が勝ち取っていかなければ、とは思ってます。(しびれの残っている)左足の感覚というのは、そこはしょうがない。手術が終わって分かっていたことなので。
――数字的な目標は
大隣:10勝、15勝と言いたいところなんですけど、そういうことを言って結果が出たためしがないので(笑い)。ローテを守り抜くことができれば、おのずと結果は出ると思ってます。今の先発陣は結果が出てなければローテを守れるメンツじゃないですからね。安定感という部分を自分の中でも求めていきたいですね。年齢的にも(昨年11月に)30になりましたし。
――年齢は意識する
大隣:やっぱり30歳になると、先発でバリバリやるって考えると、あと5年くらいなのかな、とも思いますしね。もうそろそろ盤石なところに落ち着かないといけないと思いますね。これまでは優勝した時も日本一になった時も自分が活躍していなかったので、本当の意味で喜べなかったですからね。昨年は少しの期間だったけど大事なところを任されて貢献できて、初めて自分の中で喜べるところにいけたかな、と思います。誰もが思うことだと思いますけど、常に結果を出して、その輪に加わり続けたいですね。