阪神のドラフト1位・横山雄哉投手(20=新日鉄住金鹿島)が、オリックスのドラフト1位・山崎福也投手(22=明大)への“リベンジ”に燃えている。3日、横山は母校の山形中央(山形)で自主トレを公開。「すごく環境が変わって新鮮。気持ち新たに一からやっていきたい」と抱負を話したが、横山には何としても負けられない“因縁の相手”が存在するという。

 雪で辺り一面が真っ白に染まる中、横山はボールは使わずにランニングやウエートトレーニングなどを行った。年末年始もジムで体を動かし「まずはケガをしない体づくり。1年間ローテーションを守れれば、新人王が近づいてくる」と自信をのぞかせた。

 即戦力として期待される左腕は「2桁は勝って新人王を取りたい」「3年で年俸1億円を目指したい」と豪語。対戦したい打者に巨人・阿部を指名し「自慢の真っすぐで打ち取れるようにしたい」と宣言しているが、阿部斬りを決める前にケリをつけたいことがある。それがオリックスのドラフト1位と投げ合って勝つことだ。

 横山には忘れられない出来事がある。2010年3月21日。山形中央は21世紀枠で春のセンバツに初出場したが、2年生エースとして日大三(東京)との初戦に先発した横山は、8回途中18安打13失点と大炎上。その時の相手投手が山崎だった。打者としても3安打を許し、逆に横山は山崎に4タコ3三振と封じられ、チームは4―14と大敗している。

 横山にとって苦い経験となったが、単なる敗戦に終わらなかった。この試合をスタンドで見守っていた2つ上の兄・紘基さんが人目もはばからず号泣。かわいい弟がまさかのメッタ打ちに遭い、自分を見失うほどショックを受けていたという。そんな兄の姿に横山は衝撃を受けた。

 仲のいい兄弟で、野球を始めたのも一緒。母・昌子さん(56)は「あの日のことは雄哉も伝え聞いたんでしょう。そこから野球に対する考え方が変わりました。『負けられないんだ』って言ってました」と振り返る。以来、横山にとって“因縁の相手”というわけだ。

 昌子さんは「もし山崎さんと対戦することがあれば、家族で絶対見に行きたい」と横山に伝えている。早ければオープン戦での対決もあるかもしれない両者。横山の6年越しのリベンジなるか、注目だ。