日本ハム・大谷がプロ3年目の来季“ダルビッシュ式”の飛躍で、エースの座をつかみ取る。


 今季は二刀流のかたわら先発投手として24試合(155回3分の1)に登板。11勝4敗、防御率2・61、179奪三振と大きな可能性を示した。さらなる躍進が期待される3年目に対し、大谷は「15勝以上はしたいと思っていますし、チームが優勝するためには必要な数字」と、すでに先発の軸になる自覚はたっぷりだ。


 栗山監督が「翔平(大谷)の持っている可能性を考えれば、まだまだこんなもんじゃない」と話す根底には、日本ハムが大谷育成の下敷きとしている、かつての大エース・ダルビッシュ(現レンジャーズ)の実例がある。


 大谷と同じく高卒入団のダルビッシュは、プロ2年目の2006年に25試合(149回3分の2=先発24試合)登板で、12勝5敗、防御率2・89、115奪三振。大谷が64個引き離した奪三振以外は、近似値が並んでいる。

 だが、ダルの“確率変動”はプロ3年目に起こった。07年シーズンは26試合(207回3分の2)に登板し、15勝5敗、防御率1・82、210奪三振と球界の大エースの階段を数段飛ばしに駆け上っていった。


 投手・大谷が目指すモデルは、まさにこの「3年目のダル確変」だ。投手タイトルに関わる数字はもちろんだが、チーム内でエースの称号を得るためには、イニング数と完投数の上積みが必要条件となる。3年目のダルビッシュはイニング数を前年から一気に上積みし、この年初めて200イニングの大台を超えた。


 これには前年の3試合から一気に12試合にまで増加した完投数が大きく関わっており、この年から日本ハム最終年(11年)までの5年間で2桁完投は実に4度、計50完投とリリーフ陣を大いに助け「ダルの登板日はブルペンの休養日」とチーム内で絶大な信頼を置かれていた。


 チームメートからの信頼を得ることこそが「エースの証明」であり、まさに今の大谷が目指すところでもある。大谷がこの冬に何度も繰り返した「計算できる選手になりたい」という発言は“確変”を起こした3年目のダルビッシュの「200イニング、2ケタ完投」を強く意識しているとみて間違いなさそうだ。