【ハワイ発=木下大一】ソフトバンク・工藤新監督が19日(日本時間20日)新加入の松坂(前メッツ)ら主力級投手に“マイペース調整”のススメを出した。キャンプインから新体制のもとで競争がスタートするが、実績のある主力に求められるのは、きっちりとシーズン開幕にピークを迎えること。ハイペース調整を命じる球団もある中、新指揮官は日本一連覇へ投手陣の確実なレベルアップを期待している。

 工藤新監督が主力級投手陣にマイペース調整を認可した。
 指揮官を始めとして、投手部門の一軍首脳陣が一新されるが、来年2月1日のキャンプイン初日に向けて「誰が主力で誰が主力ではないのかという線引きが難しいけど、ピークを合わせる必要はない。オープン戦に合わせる必要もない。(本番は)開幕してからだからね」と語った。

 もちろん、スローペースを推奨しているわけではない。「7割、8割くらいは作っておかないとうまくいかないけどね。(状態が)低いところから波を作ろうとするとオーバーワークになったりするからね」

 キャンプイン初日から万全な状態での「全員ブルペン」を投手陣に課す球団もあるが、自身も長年にわたって先発投手として活躍した“工藤流”は違った。自らのペースで開幕にピークを持ってくる調整を進めてほしいと考えているのだ。

 その対象となるのが、来季の投手陣の目玉となる松坂だ。日本球界への復帰は実に9年ぶりとなるだけに、周囲からの期待値の高さもあって右腕への重圧も小さくない。メジャー流から日本流への修正が必要となる可能性もあり、さらに手術した右ヒジの状態もある。ピークまで時間がかかる可能性があるが、日本での実績もあるだけに、開幕に合わせられるならばどんな課程をたどったとしても問題ない、というわけだ。

 松坂が米球界でストップをかけられていた球数を投げ込む調整も当然、認める方針だ。工藤監督は「体調がどうなのか、ヒジの状態がどうなのか。いくらでも相談に乗るし、どこかで投げ込みをしたいのなら聞くしね」とも話した。

 144試合目で優勝が決まったリーグ戦も含めて、今季はどこよりも長く目一杯の状況で戦ったソフトバンク。既存の投手陣の疲労も心配されるだけに、新指揮官のかじ取りに期待が集まる。