阪神がドラフト1位ルーキー・横山雄哉投手(20=新日鉄住金鹿島)に対して仰天プランを検討している。開幕前までに阪神電鉄の子会社で、虎の本拠地・甲子園球場の管理などを行う「阪神園芸」に“入門”させてはどうか、というのだ。即戦力として期待される左腕がなぜ? これには横山と甲子園の相性が関係しているという。

 最速147キロ左腕・横山は「能見さんが目標。2桁は勝ちたい」と1年目からやる気十分。球団も即戦力として期待しているが、同時に検討しているのが、業務の一つに甲子園のグラウンド整備を受け持つ「阪神園芸」への“入門プラン”。「一緒にグラウンドに出て説明を受けたり、一緒に土を触ったり、整備を手伝うのもいい」と球団関係者は大真面目に話すのだ。

 理由は横山が「甲子園には自分の中でいいイメージがない」とこぼしていることにあった。山形中央時代の2年の春、夏と甲子園大会に連続出場したが、春は日大三に7回0/3、18安打13失点、夏は九州学院に6回6安打7失点といずれも炎上。めった打ちを食らった甲子園のトラウマが大きな不安材料だからだ。

 未来のエース候補が本拠地に苦手意識を持っていては困る。もちろん、その“特効薬”はトラウマを吹き飛ばす好投を甲子園で横山が演じることだが、球団関係者は「それ以前にもできることはある」と、マウンドの調整なども行う正真正銘の「甲子園のプロ集団」阪神園芸に着目した。

「甲子園は我々にとって味方なんだ。敵じゃない。甲子園をしっかり学べばそれが分かる。ならば甲子園を知り尽くしたプロに教えてもらうのが一番。適任がいる。阪神園芸の皆さんだよ」。そんな「プロ集団」がバックについていることを知るだけでも横山のトラウマ払拭に役立つだろうし、さらに土、マウンド、風などあらゆる甲子園の特性を指導されれば苦手意識など吹き飛ぶだろうとみているわけだ。

「できるだけ早く、できれば開幕前までに苦手意識を克服させてあげなければ…。横山が阪神園芸の皆さんの話などを聞いたりしたら、絶対に甲子園が好きになる」と別の関係者も言う。虎のドラフト1位左腕にとって阪神園芸への“入門”がエースへの道の第1ステップになるかもしれない。