巨人・原辰徳監督(56)が今オフ、レンジャーズから獲得したアーロン・ポレダ(28)、マイルズ・マイコラス(26)の両投手を先発で起用すると明かした。5人制で回すことを公言している来季の先発ローテーション枠の争いに両助っ人も参戦させるという。一方で、初めて日本でプレーする2人をバックアップすべく、球団側は鋭意準備中。合言葉は「ノーモア・セドン」だ――。

 今オフの巨人は先発補強を最優先に掲げ、レンジャーズから左のポレダ、右のマイコラスと150キロ後半の速球を持つ2人の長身投手(ポレダ198センチ、マイコラス196センチ)を獲得。日本一奪回へさらなる補強も視野に入れている。

 そんな中、原監督は「2人は一応、先発の競争の中で考えているよ」と、先発ローテーション枠の中で競わせる考えを明かした。

 今季、先発投手陣で1年間ローテを守ったのは杉内のみだっただけに、2人の助っ人には救世主としての期待がかかる。だが、実際の能力はメジャーでは通用しない2A、3Aレベルの投手。日本球界に適応できるかが大きなカギとなるのは間違いない。

 そこで、球団側は「ノーモア・セドン」を合言葉に2人を迎えるという。セドンは今季、プロ野球新記録の初先発で15奪三振という快投デビューを果たしたが、その後は鳴かず飛ばずで10試合で4勝5敗、防御率4・67に終わり退団することになった。実は低空飛行に終わったのは投球だけが理由ではない。

「セドンはジャイアンツタイムに苦しんで、自分のルーティンを確立するのに苦労していた。結果が出せないことで一、二軍を行き来することになり、なかなかそこに適応できない悪循環にも陥っていた。難しい問題ではあるが、失敗を糧にバックアップしないといけない」(球団関係者)

 もともと日本球界の練習時間は、米球界を経験した助っ人たちがへきえきするほど長い。とりわけ巨人は球場入りなど、集合時間の30分前には集合する「ジャイアンツタイム」というしきたりがある。これにペースを乱されたセドンは、最終的には球場到着後、音楽を聞くなどして時間を潰す手法を取ったものの、流れに乗るまでにはかなりの期間を要してしまった。

 ポレダとマイコラスを実際に起用するとなれば、外国人枠の関係で一軍と二軍を行き来する生活になることが濃厚だ。来季はマシソン、アンダーソン、セペダ、メンドーサが残留予定。グリエルは逃したものの、新たな野手獲得に動く可能性はある。第3の先発助っ人を加えれば、一軍に同行させ続けることはさらに困難になる。2人の性格にも左右される話ではあるが、日本球界に慣れさせるため、セドンの苦労を見てきたチームスタッフらの協力を得て、球団は最大限のバックアップをしていく。

 先発助っ人では2012年のホールトン(12勝)以来、2桁勝利をマークした投手が現れていない巨人。来季こそ「獲得は成功だった」と言えるか。