ヤクルト内部でFAで獲得した大引啓次内野手(30)の株が上昇している。

「いや~、あれはウチで最初のファインプレーですよ。フロントの失策を彼が未然に防いでくれた」と球団内で噂になっている“好プレー”とは、背番号の一件。当初、ヤクルトは大引との入団交渉の中で背番号「1」を提示し、最大の誠意を示した。

 しかし、これにファンは敏感に反応。球団に複数の問い合わせがあったほか、球団内でも「山田という有望株が出てきたのに、歴代の生え抜き中心選手がつけてきた番号をちょっと軽く扱い過ぎではないか」という反論もあったという。すべては今年、二軍育成コーチ兼寮長から編成入りしたばかりの松井優典編成部長の“勇み足”だったようだが、発表後ではすでに後の祭り。

 ただ、このフロントの失策をすぐに察知したか、大引は「1は歴代の素晴らしい先輩方の背番号。個人的に恐れ多い。若い選手に引き継いでいってもらいたい」と丁重に辞退し、背番号は「2」に。何事もなかったかのように事態を収拾してみせた。

 球団関係者は「ファインプレーをファインプレーに見せないのが本当の名手。大引君の気配りはゴールデングラブ級」と絶賛を惜しまなかった。