日本一こそGの宿命だ。巨人OB会の新会長に就任した柴田勲氏(前副会長)が7日、ナインに猛ゲキを飛ばした。同氏はこの日、東京都内のホテルで行われたOB総会で、これまで6年間にわたって会長を務めてきた王貞治氏の後任に決定。「Gのご意見番」はチームに伝統の重みを説くとともに、主砲・阿部を日本一奪回のキーマンに指名した。

 この日、東京都内のホテルで行われた総会にはOB102人が出席。6年間会長を務めてきた王会長が退任し、柴田副会長の新会長就任が承認された。副会長については後日、行われる予定の幹事会で決定するという。

 前会長・王氏から後任の指名を受けた柴田氏は「やっぱり勝ってもらわないと。ファンのみなさんも弱い巨人は見たくないと思う。リーグ4連覇がかかっているが、巨人軍はリーグ優勝じゃなくて日本一になって、というのが伝統。現役の選手にも重みを感じてやってもらいたい」とさっそく、日本一奪回を厳命。OB会会長の立場になっても「Gのご意見番」としてチームの現状に鋭く切り込んだ。

 キーマンには来季一塁で再出発する阿部を指名した。「今年はクリーンアップ中心に打線がよくなかった。守備の負担も減るわけだから、巨人の4番として当然、3割30本はクリアしてもらわないと」。新会長は主砲にあえて厳しい目を向ける。

 実は柴田氏は以前から「主将」「4番」「捕手」という重責を担う阿部の負担軽減を訴えかけていた。チームが5冠を達成した2012年のオフには「本当なら『4番・一塁』が理想。打つ方にしろ守る方にしろ負担が大きすぎる」と警鐘を鳴らしていた。だからこそ、今回のコンバート案は「遅いよね」。阿部におんぶに抱っこのチーム状況が長年続いていたことを「それだけキャッチャーが育っていないということだからね」と嘆いた。

 今オフはヤクルトからFAで相川を獲得。2年目を迎える小林との正捕手争いが予想されるが、阿部が再び捕手に戻る可能性が完全消滅したとは言い切れない。新たな正捕手が確立されるかどうかが、阿部の負担軽減につながってくるだけに、柴田氏も正妻争いを注視している。

 OB総会の後に行われた懇親会では乾杯の音頭を取り、原監督に「原君、頑張ってね」と直接エールを送った柴田氏。来年の今頃、会長の笑顔は見られるか。