日本ハムの大谷翔平投手(20)が5日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、7000万円増の年俸1億円でサインした。入団3年目での大台突破は史上最速タイで、高卒選手としては西武時代の松坂(現ソフトバンク)に次ぐ2人目の快挙だ。今季はチームトップの11勝を挙げるとともに打者でも10本塁打をマーク。進化した「二刀流」が評価された格好だが、投打に加えて年俸面でも伸びしろは無限大だ。

 くしくも高卒3年目で初の年俸1億円の大台を突破した松坂が福岡市内でソフトバンクへの入団発表を行った日に、大谷は「平成の怪物」と肩を並べた。日本ハムの高卒新人では2007年のダルビッシュの7200万円を超える3年目年俸の記録を塗り替え「すごく高く評価していただいてありがたかった。自分でもこれぐらい行ってほしいなというところで判断してもらったので、最大限の評価をしていただいた」と笑顔を見せた。

 2年目の今季は投手で24試合(155回1/3)に登板し11勝4敗、防御率2・61、179奪三振。打者としても87試合(234打席)で打率2割7分4厘、10本塁打、31打点の成績を残した。シーズン2桁勝利と2桁本塁打を同時に成し遂げたのは日本初。メジャーでも1918年のベーブ・ルース(13勝、11本塁打)以来の快挙でもあった。

 日本人最速の162キロをマークするなど大きな進化を遂げた大谷だが、本人の自己評価は「50%ぐらい」と厳しい。「自分に課した目標に達していないですしチームも優勝していない」のが理由で、打撃に関しては「いい日と悪い日がはっきりしていた。好不調の波があった。悪い時に粘れる技術の必要性を感じた」と具体的な反省点にも触れた。裏を返せば、投打両面で伸びしろを実感しているのだろう。

 年俸の伸びしろも計り知れない。島田球団代表が「両方やっているからこそのプラス、マイナスがある。大谷の査定は単純に投手と野手のポイントを足していくらではない」と話すように“二刀流査定”は大谷にのみ適用されるもの。今季に関しては「投手としての貢献度の方が高い」(同)との評価だったが、その内訳や詳細は極秘事項で漏れることはない。通常なら他選手とのバランスを理由に若手選手の年俸が抑えられるケースもあるが、二刀流の大谷は別格。仮に来オフの契約更改で現在チームトップの中田(2億円)の年俸を上回っても、成績の単純比較ができない以上、文句が出ることもない。

 開幕投手にも「チームの大きな試合を任されるような信頼感は必要かなというのは感じている」と興味を示すが、大谷の一番の目標は「優勝すること」。不可能を可能にしてきたこの男なら、開幕投手にして胴上げ投手…ぐらいのことはしてしまいそうだ。