オリックスが、国内FA宣言した金子千尋投手(31)の“開幕投手逆算プログラム”をスタートさせる。3日、都内で「第43回三井ゴールデングラブ賞」の表彰式に出席した金子は、残留か移籍か注目の去就について「考え中か」と問われ「そうですね」と話すにとどめた。右肘骨棘除去手術を終えたばかりだが、残留を信じるオリックスは万全の態勢でリハビリをサポートしていく。

 11月29日に内視鏡手術を終えたばかりの金子は「(まだ)4日しか経っていないんで無理やり動かそうとは思っていない。抜糸して徐々に動かしていきたい」と話した。FA交渉は代理人に任せ、リハビリに専念していく考えだ。そんな金子をオリックスのトレーナー陣は3人態勢でサポートに当たる。

 にらむのは、来年3月27日の西武との開幕戦(西武ドーム)での金子先発。術後、1週間をメドに抜糸。ウエートトレで患部の曲げ伸ばしをしながら徐々に可動域を広げていき、1か月をメドにキャッチボールを開始する。並行してランニングなどで下半身を強化していく。あるスタッフは「今回は骨棘除去だけの簡単な手術。医者の見立ては本格的に投げられるまで3か月~4か月なんで、それを逆算してメディカルリポートを作成している」と話した。このプログラムは金子にも退院したばかりの30日に伝えているという。

 スタッフらはリハビリに絶対の自信を見せており「ウチのリハビリの環境は技術的にもヨソよりいい。前の手術(2011年)の時の経験もある」ときっぱり。「もし(金子が)FAで移籍したりしたら、信頼関係が構築できていない球団で途中からやることになる。それこそ焦って長引かせることになる。(金子は)そんなことはしないと思う」とも言い、完全に残留前提、開幕投手を務めること前提の一大プロジェクトなのだ。

 この日、金子はリハビリについて「無理してケガにつながって回復が遅れる方がよくない。できると思って我慢して…。キャッチボールも前倒しになればいいけど、焦りにつながるので(いつとは)決めたくない」と話したが、もちろん、その気持ちは、オリックスの金子担当コンディショニングスタッフ陣も理解している。

 フロントは金子に3年15億円の条件を提示しているとみられるが、誠意は金額だけではないということだろう。森脇監督も「来季も開幕投手としてスタートしてくれると思っている」と話しており、もはやオリックスの誰もが金子を欠くことを想定していない。