アスレチックスからFAとなった中島裕之内野手(32)の獲得を目指す阪神が、条件つり上げに燃える中島の代理人、スコット・ボラス氏に「これ以上はNO!」を叩きつけていたことが分かった。中島の古巣・西武ら他球団との争奪戦になる中、これまで条件面では、阪神が有利とされてきたが、日本エレキテル連合ばりに「ダメよ~ダメダメ」となった裏には何があったのか――。

 すでに和田監督が「存在感と勝負強さがある。一緒にやりたい」と熱烈ラブコールを送ったように、虎にとって中島はV奪回の最大のキーマンとしてノドから手が出るほど欲しい戦力。条件も他球団以上に財布のひもを緩め続けてきたが、ここにきて様相が違ってきた。ある球団首脳は「この間も(ボラス氏から)『もう少し上積みするか?』という話があったけど、ノーと言ってある」というのだ。

 つまり、条件の上方修正は今後一切なしということ。中村GMも本紙の取材に「何でもかんでも…というわけにはいかない。他の選手とのバランスもある。(中島の)適正価格もある」と、これ以上のマネーゲームには付き合わないことを明かした。

 これまでの補強なら相手の要求に合わせることが多かった阪神。中島ならなおさらのはずだが一体、何があったのか。

 別の球団首脳は「ボラスの手口を読んだということ。争奪戦になると、彼は傾向として条件が2番目にいい球団が有利なような情報を一番条件のいい球団に流して慌てさせるんだ。今回は冷静に対処しようということ」と話したが、それだけではない。

「中島には何も問題はないけど、マイナーでもあれだけ打ってないことを考えれば条件が高い。選手の間でも出しすぎと見る声が多い」(球団関係者)ことだ。中島が三塁手で加入すれば西岡に不慣れなセンターへのコンバート構想が浮上し、人気者の今成、新井良もはじき出される格好となるだけに、現状では選手間から歓迎の声が少ない。

 11月29日の阪神OB会でも「3年10億とか条件が出てるけど、もし、本当にそれくらいなら他の選手が白けないか心配」と不安視する声も噴出した。これ以上、中島サイドの条件をのむと、さらに悪影響が出るのは確実。どこかで日本エレキテル連合ばりに「ダメよ~ダメダメ」を断行するしかなかったわけだ。

 あとはボラス氏の仕掛けがないことを祈るばかりの阪神。果たして、どうなるか――。