オリックスから国内FA宣言し、去就が注目される金子千尋投手(31)の発言に、交渉役の瀬戸山隆三球団本部長(61)が首をひねっている。


 ポスティングシステムによるメジャー挑戦も視野に入れている金子は20日の日米野球終了後に「球団(オリックス)がポスティングを認めてくれないと無理なので、そこはこれから。代理人に自分の気持ちは伝えてある」と話し、続けて「(連絡は)球団からあるんじゃないですか」と“待ち”の姿勢を示した。


 これに21日、瀬戸山球団本部長は「順番として金子選手のほうからポスティングについて言ってもらわないと。ウチは来年もここでやってください、と強く希望している。なのにポスティングはどう?というのは来年はここにいなくなるというのが前提になっている。今後、いろんなことが起こってくると思うが、今のところは(残留が)前提ですから」


 オリックス側は早い段階から残留要請をしており、金子からメジャーへの興味は聞いていてもポスティングの直訴までされたわけではない。ポスティングを認める、認めないは球団が決めることで、金子側から「お願い」されて当然だ。にもかかわらず、金子に“待ち”の姿勢をされては本末転倒。「“興味がある”というのと“行きたい”は微妙に違う」(瀬戸山本部長)というわけだ。


 球団内にも、何とも煮えきらない金子の態度に“不信感”が芽生えつつあり「金子は昔はそんなやつじゃなかった。実績を積み重ねて変わってしまった」とか「真意がつかめない。ちゃんと考えを明確にしなきゃダメだ」との声も聞かれる。FA宣言すると同時にポスティングも認めてもらおうという姿勢にも球団関係者は「これで国内他球団に行ったりしたら、それこそ大ブーイングを浴びる結果になる。裏切り者扱いだよ」と予想するほどだ。


 この日(21日)、オーナー会議に出席した宮内オーナーは金子について「ウチのエースですから。(交渉は)球団に任せてます。金子の要望? 何も入っていない。ポスティング? そんなことは…」と言葉を濁した。今後は日本側の代理人に交渉を一任する金子。メジャーを優先的に考えるなら、すぐにオリックス球団に頭を下げたほうがよさそうだが…。