いぶし銀の“まさかの流出”はあるのか――。巨人は18日、中日を戦力外となった堂上剛裕外野手(29)と育成契約を結んだことを発表した。今オフは同じく中日をクビになった吉川大幾内野手(22)も獲得。そこで球団上層部は“ヤメ竜”の先輩として、井端弘和内野手(39)に注目。「2人の面倒を見てもらいたい」と後見人役を期待している。

 だが、ここにきてある不安が浮上した。もしヤクルトからFA宣言した相川亮二捕手(38)の獲得に成功した場合に「人的補償で井端が狙われるかもしれない」と心配しているのだ。

 巨人1年目の今季、井端は不振の片岡に代わって後半はレギュラー級の活躍を披露。まだ十分戦力として働けることを証明した。だが、生え抜きではなく来季40歳になるベテランの立ち位置は微妙と言っていい。あるフロントは「(28人の)プロテクトリストに含めるかは難しい判断になる」と語った。

 今季は大竹の人的補償で広島へ移籍した一岡が大ブレークして話題となった。巨人としてはその二の舞いだけは避けたいところで、リスト作成作業は昨年以上に難航している。「ヤクルトは一軍で登板実績のある投手を狙っている」と見て、若手中心にリストアップする方針だが、それでも有望な人材数人がリスト漏れするのは避けられそうにない。また、ヤクルトは宮本慎也の引退後、チームリーダーの不在が課題。そこに井端をという可能性もある。

「投手に困っているヤクルトが井端を選ぶ可能性は低いだろう。でも万が一ということもあるしなあ…」と前出フロント。ヤクルトとの心理戦はすでに始まっている。