阪神首脳陣が来季、シーズン全試合のスタメンが異なる“143通りオーダー”を覚悟している。海外FA権を保有している鳥谷敬内野手(33)のメジャー移籍が決定すれば、これまで不動だったショートが空席となる。これに伴い内外野の大シャッフルは避けられない情勢で、まさに「日替わりオーダー」で戦うことを視野に入れているのだ。

 10日、西宮・鳴尾浜球場で行われた秋季練習では外野手でゴールデングラブ賞を獲得した大和がショートのポジションでノックを受けた。和田監督は「他の外野手も内野に入っていたし、内野ノックを受けることで下半身のトレーニングにもなる」と内野コンバートに向けた練習ではないことを強調した。

 しかし、大和は内野手として入団。高い守備能力で鳥谷の後継者候補の1番手と言われていた。この日も首脳陣をうならせる動きを見せており、鳥谷のメジャー移籍が現実となれば大和のショート復帰も有力な選択肢の一つとなる。

 首脳陣は「日替わりになることは間違いないんじゃないかな」と渋い表情で予想する。 しかも、今季は巨人が144試合で113通りのオーダーを組んで話題となったが、交流戦が1試合減って143試合となる来季はこれを超える“猫の目打線”になる見込みだというのだ。

 あるコーチは「今のところ固定できるのは一塁のゴメスとレフトのマートンだけ。あとの野手の6つのポジションは複数の選手で1シーズンを乗り切らないといけない。」と指摘。その理由について「今季、スタメンで出るような主力級で1年間、一軍にいたのは鳥谷、ゴメス、マートンの3人ぐらい。6つのポジションを固定できないとなれば、それこそ毎日、スタメンが違うということも十分に考えられる」と説明する。

 今季も144試合で85通りのオーダーを組んでいる。1年間、フル出場を続けた鳥谷がいなくなることで激増することは確実だ。もちろん首脳陣は「理想は固定」と考えている。米大リーグ・アスレチックスからFAになった中島裕之内野手(32)の獲得や現有戦力の底上げで、できる限り固定オーダーに近づけたいところだが…。来季は和田監督の手腕がより重要になる。