阪神の能見篤史投手(35)が“生涯虎宣言”だ。今シーズン中に取得した国内FA権を行使した上で残留する意向を表明。すでに能見を筆頭とする“サウスポー軍団”はチームの一大勢力になりつつある。そのリーダー格がタテジマ一筋を決断。球団では「左腕会」が10年ぶりリーグ優勝、30年ぶり日本一の原動力となると大いに期待している。

 能見は「宣言残留することになりました。まだ契約には至っていないが、僕の中では決まっています。いろいろと話をさせていただいた中で、すごく誠意というか、必要とされていることを感じた」と笑顔で明かした。これで権利を再取得するのは最短でも4年後となり、年齢的にも現役生活をタテジマでまっとうすることが決定的となった。交渉役の高野球団本部長も「阪神で最後までやってくれたら」と話した。

 この能見の生涯タテジマ宣言を受けて急速に注目度、期待度がアップしているのが「左腕会」だ。先発ローテの柱となっている能見、岩田を筆頭にシーズン終盤から勝利の方程式に加わった中継ぎの高宮、プロ1年目から白星をマークした岩貞、岩崎。そして、一軍定着を目指す榎田、小嶋、藤原、山本に今秋のドラフト会議で1位指名した社会人ナンバーワン左腕の横山雄哉(20=新日鉄住金鹿島)――。一軍戦力として期待される左投手がズラリと並ぶ。

 この「左腕会」が発足すれば実績、年齢から能見がリーダーとなることは確実で球団関係者は「今まで以上に若手左腕へのアドバイスを送ってほしい」と期待を寄せている。能見の的確なアドバイスは若手投手からの信頼が厚く、榎田は入団当初から心酔。岩貞は「アドバイスをいただいています。すごく参考になる」と目を輝かせており、首脳陣も「岩貞の台頭は能見の存在が大きい」と認めるほどだ。

 しかも、来季は投手陣の大幅なレベルアップが欠かせないというチーム事情がある。キャプテンで攻守の要としてチームを支えてきた鳥谷が海外FA権を行使する可能性が高まっている。もしメジャー移籍となれば攻撃力、守備力のダウンは避けられない。そんな中で「左腕会」メンバーが飛躍すれば投手力はアップする。チーム全体の戦力レベルを維持するためにも「左腕会」は重大な鍵を握る存在となっているのだ。

 能見自身も今季9勝13敗と黒星が先行してしまっただけに、来季にかける思いは強い。エースが引っ張る虎の「左腕会」が2015ペナントレースの主役になるかもしれない。