ソフトバンクが戦友だった新旧監督の強い絆を生かして日本一連覇に臨む。

 今年のプロ野球の発展に貢献した監督、選手らに贈られる「正力松太郎賞」の選考委員会が5日、東京都内で行われ、ソフトバンクを3年ぶりの日本一に導き、今季限りで退任した秋山幸二前監督(52)が満場一致で選ばれた。西武での現役時代の1991年、ソフトバンクの監督として8年ぶりの日本シリーズ制覇を果たした2011年に続く3度目の受賞だ。

 秋山前監督はヤフオクドームで会見。「名誉ある賞をいただけるということで、周りの人に感謝したいですね。今年は1年間しんどいシーズンでした。その中で苦しみながらたどり着いた日本一でした。野球人生の中で思い出深い年になりました」と感慨深く話した。

 そんな偉大な前指揮官に、ソフトバンク側は工藤公康新監督(51)への“相談役”としてのフォローを期待している。「ウチの監督をすることが、どれだけ大変か知っている人間が何人いるんだという話だよ。秋山前監督が、どれほどのストレスを抱えてきたか。見る人によっては補強してもらって楽だと思うかもしれないが、とんでもない。勝って当たり前。毎年、日本一が義務付けられるんだからね。それ以外にも、やった者だけの悩みが数多くあるだろうしね」(チーム関係者)

 本社からの青天井バックアップで常勝軍団を目指すソフトバンクには、巨人、阪神とも違う特殊なチーム事情があるが、新旧両監督は西武、ダイエーで合計17年もチームメートだった戦友であり、2人の間には“ホットライン”もある。秋山前監督は他球団の選手にでも請われれば打撃アドバイスを送るなど「来る者拒まず」の性格。初めての指揮官生活となる工藤監督が相談するには、これ以上ない人物というわけだ。

 この日、後任監督に対して「強いホークスを作ってほしい」とエールを送った秋山前監督。球団からは去るが、その期待は大きい。