「選手を叩いたりするのを待っているんだろうけど、絶対にやらないからな」。本紙カメラマンに対して、そう言って不敵な笑みを浮かべたのは、岡山・倉敷で行われている秋季キャンプでタクトを振っている楽天の大久保博元新監督(47)だ。

 西武のコーチ時代には選手への暴力沙汰で退団に追い込まれ、そのイメージの悪さから今回の一軍監督就任に際しても、ファンによる反対運動が巻き起こった。それだけに大久保監督は「オレもいろいろ勉強してきているから」と自身の言動には細心の注意を払っている。“動かぬ証拠”となりかねないカメラは特にだ。

 これまで二軍監督や一軍監督代行時には、冗談交じりに選手の耳を引っ張ったり、バットのグリップで頭をコツンとするなどの方法で選手とコミュニケーションを取ってきた。他球団でも日常的に見られる普通の光景ではあるが、大久保監督の場合は過去の言動から色眼鏡で判断される危険性もあり、念には念を…というわけ。船出したばかりで誤解を招くような写真が報じられれば今後にも影響を及ぼすだけになおさらだ。

 実際に今キャンプでの大久保監督は、選手との物理的接触を極端に避けている。選手に注意をする時もイスに座らせて話し、たとえノックバットを手にしていても、あくまでつえ代わりに持っているだけだ。

 大久保監督の姿勢は球団側も大歓迎で「我々も監督をもり立てていかないと。メディアにも積極的に出てもらいたい」とイメージアップを目的にテレビの出演依頼などを積極的に受けている。まずは第一関門突破――というところか。