フォークの魔術師になれ。巨人・原監督が1日、悩める剛腕・澤村に対して公開熱血指導を行った。150キロを超える直球を連発する一方で、単調になってしまう悪癖があるなど、引き出しの少なさに不安があるのが難点。そんな「暴れ馬」と称される男に対し、指揮官はウイニングショットの精度を上げるよう、アドバイスを送った。

 悪天候のため、室内練習場で行われた秋季練習第2クール2日目。チーム再編へ精力的な動きを見せている原監督はこの日も動いた。澤村とマンツーマンで会話を始めると、約30分間にわたる熱血指導。右腕のウイニングショットであるフォークにさらに磨きをかけるようアドバイスを送った。

 指導の内容について指揮官は「フォークが武器の投手は、真っすぐと同じようにヒジを高く上げて投げないといけない。あくまでも腕の軌道は一緒」と投球フォームの修正だったと説明。その上で「フォークを投げるという点では、すごかったのは牛島、大魔神(佐々木)、遠藤さんかな。澤村は真っすぐのスピードでは勝っている。勝っているものがあるのだから、武器を上げていけばね」と歴代のフォークの魔術師たちの名前を挙げ、右腕にゲキを飛ばした。

 平均で150キロ前後の直球を持つ剛腕だが、その一方で、ひとたび打たれだすと止まらなくなるという悪癖も持つ。「変化球でストライクが取れないと、直球に頼ることになって投球が単調になる。マウンドで実際に投げさせてみないと、わからない投手」(チームスタッフ)。これが澤村が“暴れ馬”と称される理由。安定感がないのは、投手としての引き出しの少なさが原因だ。

 そこで指揮官は“澤村改造計画”の第一歩として今回の熱血指導を実行。これまで、主にワンバウンドで空振りを狙うフォークしか投げてこなかった澤村の意識を変えた。「低めだけじゃなくて、ストライクを取ってみたり、狙ったところに投げられるように。監督さんには打者目線の話もしていただいた。勉強になったし、いい時間が過ごせました」。右腕は自主トレ、来年の春季キャンプで自在に操れるフォークを身に付けることを誓った。

 来季のG投再編のキーマンとして澤村を指名した原監督は「いい感覚のものはあったね」と手応えを感じた様子。指揮官の積極的なチーム再編はまだまだ続く。