広島が異例のキャンプを敢行する。今日11月1日からスタートする秋季キャンプのため、赤ヘルナインは10月31日、宮崎・日南入りした。監督就任後初のキャンプとなる緒方新監督は戦力見極めと競争意識の向上のため、一軍のグラウンドに立つ資格がないと判断した選手を“強制送還”させることを明言。ナインにとってはいきなり生きるか死ぬかのサバイバルになりそうだ。

 到着直後に行われた全体ミーティングで、ナインに衝撃的な事実が伝えられた。「まだまだ一軍で戦える力がないと思ったら広島に帰ってもらうことになる」。実力不足と判断された選手はその時点でキャンプ途中であろうと“強制送還”になり、広島で残留組に合流して練習に参加することになるというのだ。

 緒方新監督にとって就任後初のキャンプ。例年より多い、選手42人の大所帯で乗り込んだ。これは選手個々の力量を見極め、選手間の競争意識を高める狙いがある。来年の春季キャンプでは今回参加していないベテラン組や助っ人陣など10人以上が一軍メンバーにプラスされる。そのため今回のキャンプである程度の大枠を決める必要があり、10人程度が“脱落”する計算となる。

 見極めるための舞台も整えている。練習中心の例年とは違い、今回は実戦形式が中心。第1クールからシート打撃を開始し、第2クールからは紅白戦も行う。その後は西武との練習試合も2試合組まれるなど、白か黒かの結果が出る場面を数多く用意した。新指揮官は「緊張感のあるなかで自分のプレーができるかどうか」と、重圧のなかで力を発揮できるかも観察する。しかし、力不足が即、強制送還となるわけではない。「力差があるのは分かっている。そこでどう考えてやるかが大事」と、いかに自分のセールスポイントを把握した上でアピールできるかを求めていくという。

 コーチ陣も安穏とはしていられないようだ。新体制では若いコーチ陣も入閣したが「選手はもちろんコーチも声を出したりして盛り上げていくことも必要。そういっても声を出せない人もいるが、そのときは目を光らせていく」と選手だけでなく、コーチ陣の育成にも務めていくという。

「プロなんだから競争して残っていかないといけない」と話した緒方新監督。赤ヘル軍団のサバイバルキャンプが幕を開ける。