日本シリーズ第3戦は28日、ヤフオクドームで行われ、阪神がソフトバンクに1-5で敗れ、対戦成績を1勝2敗とされた。阪神は2戦目以降、精彩を欠いている主砲のマウロ・ゴメス内野手(30)が不安材料。首脳陣が心配していた“悪癖”が顔をのぞかせている、というのだ。

 ソフトバンク先発・大隣に7回3安打0点と封じられるなど打線が沈黙。第2戦に引き続き1点を奪うのが精一杯だった。和田監督も「(大隣は)球のキレ、コントロールが良かった。コースや高さを間違えなかった。追い込まれてからキレが増す。とらえきれなかった」と脱帽するしかなかった。

 中でも不安は主砲のゴメスだ。広島、巨人とのクライマックスシリーズ6試合で打率3割2分、8打点、日本シリーズに入っても第1戦で2安打3打点を叩き出すなど絶好調だったが、26日の第2戦では3打数無安打、この日も4打数1安打と快音が消えてしまった。

 実は暗転する布石は大暴れした第1戦にあった。7回一死一塁で迎えた4打席目に外角のチェンジアップを強引に引っ張ってショートへの併殺打。これが首脳陣が心配していたゴメスの“悪癖”だ。

 あるコーチは「ゴメスは来日当初とは比べものにならないほど成長した。ヒットゾーンが広がったし、配球を読んで打てるようになった。それが活躍の要因なのは間違いない」と春季キャンプで大幅に出遅れるなど不安が多かった新助っ人の成長、対応力に目を細めていた。

 その一方で「打てるコースが広がって配球が読めることで外角の逃げる球を無理に引っ張ってしまうケースが出てきた。好調だから手が届いてヒットにするけど、それをきっかけにフォームを崩してしまう。本当は見逃してほしいんだけど…」と新たな弱点を露呈するようになった。

 第1戦の問題の併殺打の直前の打席は二死満塁からの左前適時打。結果は最高だが、打撃の内容はスライダーを強引に引っ張ったもの。これを最後に不調モードに突入しており、ゴメスが調子を落とす典型的なパターンだったのだ。

 ただ、今季の虎打線を支えてきたのは間違いなく勝負どころで打点を叩き出してきたゴメスだ。29年ぶりの日本一にゴメスのバットは欠かせない。「明日勝てば2勝2敗のタイになる。明日やるだけ」と主砲の闘志も全く衰えていない。打点王のタイトルを獲得できたのも長期スランプに陥ることがなかったことが要因だけにコーチ陣も「ゴメスは気持ちの切り替えがうまいから、不振からの立ち直りが早い」と“早期復活”に大きな期待を寄せている。