昨年6月に右ヒジを手術、今季は3試合に登板し、0勝1敗、防御率4・20に終わった中日のエース・吉見一起(30)が来季の完全復活に向けて手応えをつかんでいる。


 先日まで約10日間、山本昌や岩瀬らが通う鳥取の「ワールドウィング」小山裕史代表が唱える初動負荷理論に基づく機器などを用いたトレーニングに初挑戦。「正直、最初は意味あるのかなと思ってやっていたが、3日目くらいから理論が分かりだした。股関節が動かなくなっていたのを痛感したし(右肩などの可動域が広がり)ヒジが上がってバーンとはじけるようになった。ブルペンにも2度入ったし、モヤモヤしていたものがなくなった」という。さらに「全く向こう(鳥取)では走らなかった。この時期は走らなきゃいけないと思っていた思考も変えないといけない。これまで走るのが8としたら、投げるのが2だったけど、その割合を逆にできれば」とも話し、まさに“目からうろこ”状態だ。


 これには他の選手も注目。「オフの吉見さんは走ることに、とことんこだわってきたのに、その考えを変えてまで取り組んでいるんだから、よっぽど効果が実感できているのでは。自分も興味がある」とある選手は話すほどだ。チーム内には「ここまで吉見が成功を収めてきた生命線は走り込み。それを極端に少なくしてしまうのは…。危険な賭けにならなければいいが…」との声もあるものの、吉見はやる気満々。11月上旬にも1週間ほど再び鳥取へ向かうそうだ。