日本シリーズ 鷹虎決戦プレーバック2003<3>

 健康上の問題を理由に03年日本シリーズ限りで勇退した阪神・星野監督。それはシリーズ直前に発表され、当時のホークスとの頂上決戦は“ラスト星野”がキーワードになった。


 なかでも気になったのは闘将の体調だ。高血圧症に苦しみ、その年のシーズン中は毎試合前と試合後に降圧剤などを服用。7月27日のナゴヤドームでの中日戦では試合中にダウンし、ベンチから消えたこともあっただけに「シリーズでは大丈夫か」と思った。


 それでなくても、その年の記者は試合後に星野監督の状態を、球団関係者に聞くのが日課みたいなものだった。「今日の監督はどうでしたか」「ちょっと、顔が赤くなっていたから気になったけど、大丈夫だったよ」という具合。それを日本シリーズではさらに“強化”してチェックしていたところ、ある関係者が「監督が“試合中にゲロゲロした。やっぱり来年1シーズンを戦うのは無理だった”と言っていた」と証言した。


 それは5―4でダイエーがサヨナラ勝ちした第1戦でのこと。一気にシリーズ中のリタイアが心配になったが、甲子園で阪神が延長10回2―1でサヨナラ勝ちの第3戦での指揮官は、審判に猛抗議したり、ベンチのモノに対して“星野キック”を連発したり“大暴れ”。「監督に元気が出てきた。復活や!」と試合後の球団関係者の声も勇ましかったのを覚えている。