<2014ドラフト>オリックス1位:山崎福也投手(22=明大)

「1つの目標だったのでうれしい」。父・章弘さん(53=現兵庫ブルーサンダーズ監督)は元巨人捕手でドラフト2位指名選手。それを超える1位指名にベビーフェースの笑みを浮かべた。周囲からは「プリンス顔」と言われ、その性格もおっとり。しかし善波達也監督(52)は「マウンドに上がると目つきが変わる」と評する。

 昨年春の法大戦での登板で、右翼の失策で走者が三塁まで進むピンチを招いた。次の打者は現ヤクルトの西浦。マウンドに向かった善波監督は「歩かせた方がいいんじゃないか」と敬遠を指示したところ、山崎は「えっ!」とにらみ返すと「勝負させてください」と監督の命令を拒否。この負けん気の強さには善波監督も「だったら抑えてこい」と言うしかなかったという。

 山崎は「あれは指示というより相談だったと思います。相性も考えて勝負の方がいいと言ったんですよ」と苦笑いで“反抗”を否定したが、マウンドで変身するのは間違いなさそう。中学3年の11月には健康診断で脳腫瘍が発見。「野球はもう無理。手術がうまくいかなかったら最悪のことも考えてください」と絶望的な診断を受けた。そこから奇跡の回復を見せた男が今度は球界で奇跡を見せる。