今年の巨人のドラフト戦略が、他球団から高い関心を集めている。ドラフト会議前日の22日、東京都内の球団事務所で開かれたスカウト会議には原監督も出席し、候補の最終チェックを行った。即戦力投手か、それとも未来の大砲か。注目の1位指名は当日決めるというが、ライバル球団は「ドラフト1位の選択次第で今後の補強計画が見えてくる」と盟主の出方に鋭い視線を向けている。

 原監督が加わって行われた会議は約3時間に及んだ。指揮官は約40人強の候補について担当スカウトから報告を受け、動画も全てチェック。現場トップとしての要望も述べたといい「かなり煮詰まった話になった」と会議の感想を語った。

 それでも1位候補については、最終決断を下すまでには至らなかった模様。山下スカウト部長は「(1位候補は)他の動向も見極める」と話した。

 現実的な選択なら、1位指名は即戦力投手しかない。今季は主力投手の相次ぐ故障や不振が、思わぬ苦戦を招いた。柱となる投手補強は不可欠なだけに、競合覚悟で早大・有原を指名する決断は十分考えられる。

 一方、数年先を見据えれば、野手に主軸候補が不在という現状もある。ようやく大田に覚醒の兆しが見えてはいるが、そろそろ内野手にも大砲候補が欲しいところ。智弁学園・岡本の長打力には原監督もほれ込んでいるという。

 そんな巨人の動向について、某セ球団の編成担当は「巨人に2年連続で野手を1位指名する余裕があるかね? もし岡本を指名するなら、投手はよほどの大物をFAか外国人で補強できると考えているからだろう。(オリックス)金子を獲れるという手応えを得ているんじゃないか」と推察した。

 では1位に有原ら即戦力投手を選んだ場合はどうなるのか。前出の編成担当は「ドラフト以外で内野手を獲りにいくはず。金子(オリックス)をあきらめることはないと思うが、グリエル(DeNA)か中島(アスレチックス2A)のどちらかは確実に獲りに動くだろう」とした。

 この日、原監督は指名が競合した場合の覚悟を問われ「くじは私が引けと命が下された。爪だけはきれいに掃除してこようと思う。右手で引きます!」と宣言したが…。ライバルたちの視線は、巨人1位指名の背後に浮かび上がる大物の姿にも集まっている。