ソフトバンクがパ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを突破し、3年ぶり15度目(南海、ダイエー時代を含む)の日本シリーズ進出を決めた。次なる相手は阪神だがソフトバンクはどう戦うべきか。本紙評論家の宇野勝氏が徹底分析した。

【宇野勝:フルスイングの掟】大隣の活躍で日本シリーズ進出を決めたソフトバンクだが、彼1人では阪神には勝てない。日本シリーズでは先発で2勝したチームが勝つ。2回投げることができる第1戦と第2戦の先発投手が重要となってくる。特に日本シリーズは、その入り方が重要で第1戦の先発が大事になってくる。

 中4日で大隣の登板も可能だが、この日(20日)が術後明け初の中4日登板だったことを考えれば不安は大きいだろう。大隣は第2戦がベターだと思う。私が第1戦に薦めたいのは摂津だ。CSファイナルの第3戦での登板では2回7失点と苦しい投球となった。しかし、曲がりなりにも今季の開幕投手。セ・リーグで多く対戦した中田やスタンリッジほど阪神が知っている投手でもない。摂津が日本一へのキーマンになるのではないか。

 ソフトバンクが阪神打線で気をつけなければいけないのは西岡、上本の1、2番だ。足の速い選手を出すとバッテリーにも内野手にも外野手にも緊張が走り、プレッシャーがかかる。機動力を使われることで勢いも出る。特に西岡を乗せるとベンチも盛り上がるので注意が必要だろう。走者がいないところでゴメスの一発ならOK。鷹の投手陣はそれぐらいの意識で行くべきだ。ソフトバンクと阪神を比べると打、投、守ともほぼ互角だが、中継ぎでややソフトバンクに分があるのではないか。ソフトバンクの森、五十嵐、サファテの勝ちパターンの投手はそれぞれ力があるが、阪神の安藤、福原のセットアッパーには不安を感じる。早めに阪神の先発を崩す。そこに狙い目がある。

 ただCSでの打撃を続けていては厳しい。ファイナルステージは最終第6戦で決着したが、本当ならもっと早く終わっていたと思う。もっと点も取れていた。そうならなかったのは、あまりにもボール球を振り過ぎていたからだ。打撃は小さくなってはいけないが、もっと間合いを取りながらストライク、ボールの見極めをして四球も取っていくことも必要。振りに行ってもボール球ならバットが止まる。そういう本来の打撃ができれば阪神は決して難しい相手ではなくなるだろう。