パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは19日、ヤフオクドームで第5戦が行われ、レギュラーシーズン3位の日本ハムがリーグ覇者のソフトバンクに延長11回の末に6―4で逆転勝ちした。対戦成績は、ソフトバンクにある1勝のアドバンテージを含めて3勝3敗となり、最終の第6戦にもつれ込んだ。

 二死満塁の延長11回、3位からの下克上に望みをつなげる2点タイムリーを放ったのは、伏兵・中島卓也内野手(23)だった。


 公式戦で打率2割5分9厘、0本塁打、28盗塁のつなぎ役は「昨日、今日と本当にチャンスで打てなくて、あそこで打てなかったら男じゃないと思った。めっちゃうれしかった。流れが行ったり来たりしている中でいい経験ができている」と声を弾ませた。栗山監督も「手放しでうれしかった。あれだけ強い球の投手(サファテ)から一番大事なところで打って、卓にとってはすごく前に進んでいる」と喜んだ6年目内野手は、実は日本ハムが2008年のドラフト5位でソフトバンクの盲点を突いて福岡工高からかすめ獲った選手でもある。


 当時、ドラフト前の最終チェックのため中島の視察に行った山田GMがこんな獲得秘話を披露した。

「球場に行ったらソフトバンクのスカウトがいてさ、こりゃまずいなと思ったんだけど、知らんぷりするわけにもいかないからね。あいさつしたら、向こうは別の選手を見に来ていて『山田さんは誰を見にきたの?』と聞かれたんだ。事前に投げないことは知ってたんだけど、とっさに『(当時、同校のエースだった現DeNA)三嶋ですよ』ととぼけたら気付かれなかったみたい。守備と足は間違いなかったんだけど、非力だった打撃が形になってきたもんね」


 その福岡出身の伏兵が、ソフトバンクに悲鳴を上げさせた。スカウト勝負でも「してやったり」というところか。