レギュラーシーズン2位の阪神が16日のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第2戦(東京ドーム)も同1位の巨人を5―2と撃破。連勝で対戦成績を2勝1敗(巨人に1勝のアドバンテージ)とし、悲願の日本シリーズ進出に向けて一歩リードした。ポストシーズンは3勝1分けと絶好調の虎軍団。この快進撃の秘訣は「今日はこれぐらいにしといたるわ」の精神だという。その真意とは…。

 宿敵・巨人を連破した和田監督は「先行逃げ切りという形でいいゲームができた。いい雰囲気で野球ができている」と手応えを明かした。その一方で「追加点というところで、まだ取り切れていないなというところがある。そこらへんが反省点」と課題を挙げた。

 3回に2点を先制した後の一死二、三塁、5回に3点を奪った後の一死一、二塁の好機をいずれも逃すと6回以降もゼロ行進でダメ押しの追加点を奪うことができなかった。ファーストステージも何度も得点機がありながらも2試合でわずか1得点。15日のファイナルステージ第1戦でも3回に1点を追加して、なお無死満塁の絶好機に得点できないなど大爆発とまではいかない攻撃が続いている。

 和田監督は「あそこで点を取っておけばすごく楽な展開になるのに…」と巨人を一気に突き放すことができない展開にもどかしさを感じているのだが、首脳陣の間には「大勝できないことが逆にポストシーズンの好調にもつながっている」という見解もある。

 あるコーチは「短期決戦では一つのきっかけで流れが変わってしまう。こちらのミスであったり、相手のファインプレーというものも考えられるが、大差の試合というのも流れを変える可能性がある」と指摘。その上で「接戦が続くことでチームにもいい意味での緊張感が続いている。大勝することで相手が開き直るということもある。やはり巨人を目覚めさせてしまうと怖い。このままの流れで勝ち抜くしかない。そういう意味でも“今日はこれぐらいにしといたるわ”ぐらいのほどほどの勝利を続けることがベスト」と力説する。

 もちろん、和田監督やナインは1点でも多く奪おうと必死に戦っており、計算して接戦に持ち込んでいるわけではない。ただ、ポストシーズンに入って4試合すべてに守護神・呉昇桓を投入しているように最後まで気を抜けない展開が続いている。この試合展開が過去4度のCSではすべてファーストステージ敗退と苦手にしていたはずの短期決戦での快進撃につながっていると分析しているのだ。

 吉本新喜劇の舞台でケンカを売った池乃めだかが返り討ちに遭いながらも勝ち誇って「今日はこれぐらいにしといたるわ」と捨てゼリフを吐く場面は有名。実際には阪神が優勢なだけに状況は全く異なるものの、この爆笑フレーズのような戦い方を続けることがCS突破の鍵になる!?