<宇野勝 フルスイングの掟>パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦(14日、京セラドーム)で日本ハムに勝利を呼び込んだのはプロ2年目の鍵谷(かぎや)の好投にあったと思う。同点に追いついた6回、その裏に2番手として登板。その堂々とした投球には驚かされた。真っすぐは常時150キロが当たり前。コントロールも抜群だった。2イニングを投げて無失点。7回は圧巻の三者連続三振。これで試合の流れが完全に変わった。

 今季21試合に登板し、3か月間はファーム生活だった鍵谷だが、栗山監督もその力を認めていたからこそ、この大事な場面で起用したと思う。レギュラーシーズンではオリックスの強力中継ぎ陣が席巻したが、鍵谷の投球はそれらにも全く負けていなかった。

 3番手で登板した新人の白村も駿太にたまたま変化球を左中間に運ばれピンチを招いて降板したが、真っすぐは152キロを投げるなど魅力いっぱい。生きのいい1年目、2年目の若い投手は日本ハムの今後の快進撃への原動力となるのではないか。決勝点の本塁打を放った中田。あの場面で、あのバックスクリーンへのアーチはやっぱり持っているね。ジャパンの4番を任せてもいいのかな。

 2位のオリックスはまさかの敗退となった。総合力では上だと思ったが敗因はやっぱり糸井にあるだろう。ファーストステージで、ずっと調子が出なかったが、特にがっかりしたのがこの試合の8回だった。一死三塁と勝ち越しのチャンスで日本ハムの左キラー・宮西の前に最悪の三振。これは痛かった。

 ペーニャの欠場もオリックスにとって誤算だった。打つ、打たないは別としてペーニャはいるだけで相手にプレッシャーを与えられる選手。神経を使わせることで、他の打者が打ちやすくなる。いないことでのマイナスは大きかった。(本紙評論家)