キーワードは「西武人脈」? 今オフのFA戦線で、西武・炭谷銀仁朗(27)、ソフトバンク・細川亨(34)両捕手の動向が注目されている。

 8月に国内FA権を取得した炭谷は「それに関してはまだ何も考えていない」としているが、昨オフの契約交渉で複数年契約が提示されなかったこと、さらに今季終盤は近い将来の正捕手候補・森を優先起用されるなど、押し出される形でのFA宣言は確実な情勢となっている。

 移籍先最有力球団は谷繁兼任監督の後任捕手補強が急務な中日。だが、阪神など複数球団による争奪戦に発展することが予想されている。一方、細川は西武時代の10年オフにソフトバンクへFA移籍。今季は同じFAで日本ハムから加入してきた鶴岡との正捕手争いに勝ち、優勝の原動力となった。が、昨オフあたりから、球団内や現場での評価は微妙となっている。4年契約最終年を前にした昨年の契約更改で複数年契約が提示されることはなく、シーズン中盤までの冷遇に本人は「今年でクビです」と周囲に退団をにおわせてもいた。

 正捕手の座を奪い返した後半の活躍でおそらく球団は引き留めに全力を挙げると思われるが、2度目のFA権行使に踏み切る可能性は高い。

 細川がFA宣言した場合、いの一番に手を挙げる球団がロッテだ。里崎の引退にともない、投手補強と同様に重要となるのが江村、田村らの若い捕手をどう育てるか。

 伊東監督に近い関係者は「監督は自分の経験上、若い捕手を育てるには経験豊富なベテラン捕手の存在が不可欠、と考える人。それを考えると細川は適任」と語る。

 一方で「細川にFAでロッテに行かれるのがウチにとって一番まずい展開」(チーム関係者)とここにきて焦りの色を見せているソフトバンクは、危惧する展開になった場合、炭谷の争奪戦に割って入るしかない。

 球界関係者は「炭谷獲得の実行部隊は(中日)森ヘッドを筆頭とした西武OB。どうなるかは炭谷、細川の当事者と秋山、伊東両監督と森ヘッドの西武OBたちにしか分からない」。西武OBラインの中で繰り広げられるFA捕手戦線の行方はいかに。