阪神・和田豊監督(52)の来季続投が決定。指揮官の去就が決まったことで今後、球団フロントは来季の組閣を本格化させる。中でも注目は掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC=59)だ。あらためて指導力の高さが評価されており、来季は“一、二軍巡回DC”として一軍ベンチ入りも検討されている。
 
  9日、CSに向けた全体練習を見守った和田監督は虎ナインの状態について「あとはどこでスイッチを入れるか。準備段階でやるべきことはやっている」と手応えを明かした。
 
 グラウンドでは指揮官を筆頭にナインがポストシーズンでの雪辱に燃えているが、水面下では球団フロントが来季こそは9年連続で逃しているリーグ優勝を達成するための体制づくりをスタートさせている。まず9月上旬の大失速で微妙となっていた和田監督の去就も続投で落ち着いた。指揮官が固まったことでコーチ陣の人選も本格的になる。

 球団では選手だけでなく指導者の世代交代も視野に入れており、2003年、05年の優勝メンバーだった金本知憲氏、矢野燿大氏、赤星憲広氏らの入閣を検討。それぞれの意向もあり、実現は微妙な情勢だが、同時にフロント幹部が大きな期待を寄せているのが掛布DCの手腕だ。

 今季は将来の猛虎打線の中軸を担う若虎を育てるため二軍での指導に専念。シーズン終盤には掛布門下生の一番弟子だった伊藤隼が一軍で結果を残すなど成果を上げた。

 球団関係者も「手取り足取りの熱血指導、わかりやすい打撃理論、プロとしての心構えなど素晴らしい指導力を見せてくれた」と高く評価している。

 その上で「来季は今年以上に若い選手が一軍でプレーする機会が増えないといけない。一軍では基本的な技術だけでなく相手バッテリーとの駆け引きや、試合の流れの中でどういう打撃をすべきかといった、より実戦的な課題も出てくる。一軍でも指導してもらうことで、さらなるステップアップにつながる。ベンチにも入ってもらって、その場でアドバイスしてもらうのが効果的。中堅、ベテランにもプラスになることが多い」と大きな期待を寄せている。

 肩書の大幅な変更はない見込みだが、より大きな「役割」を望まれている。