巨人が6日、今季最終戦となった広島戦(マツダ)に4―1で勝ち、82勝61敗1分けでシーズンを終えた。

 広島にとっては2位を決める大一番だったが、相手がエース前田だったのに対し、巨人が送り込んだ先発は今季未勝利の宮国椋丞(りょうすけ=22)。だがその宮国が首脳陣も“想定外”の快投を演じた。

 川口投手総合コーチが「前回、横浜に呼んだとき(8月7日のDeNA戦で3回5失点KO)は正直『エッ?』だったけど、今日は真っすぐもキレていた」と評価したように、この日は140キロ台の直球と90キロ台のカーブを駆使して緊張で硬さが目立った広島打線を翻弄。「これまでの悔しさを全部ぶつけた」と7回5安打1失点で今季初白星を手にした。

 苦戦が予想されたこの試合、スタッフは「CSで軸となる投手がマエケンに投げ負けてしまうと、本番前に嫌な印象が残る。逆に、今年結果を残せていない椋丞が失うものは何もない。負けてもともと。もし勝ったらもうけもの」と話していた。それだけに“まさか”の展開に笑いが止まらない。

 だがこれで宮国が菅野が抜けた先発陣の救世主になるかといえば、話は別だ。原監督は「宮国椋丞らしい投球が出ていた。いろんな意味で戦力として考えられる」と話したが、CS先発ローテは内海、杉内、小山、澤村の4人が当確。この日は確かに好投したが、宮国は今村、セドンらと5番手を争うのが精一杯の立場だ。

「あいつの運が良ければ投げる機会はあるかも。その前に宮崎(フェニックス・リーグ)でもしっかり投げてくれないとね」という川口コーチの言葉から、現実的にはロングリリーフ要員ということになりそうだ。

 とはいえ一時はチーム内で「終わった投手」とまでささやかれた宮国が、最後の最後で復活の予感を感じさせる姿を見せたことは「朗報」に違いないが。