王者巨人への再挑戦権をめぐって鯉と虎が火花を散らしている。5日の広島―巨人戦(マツダ)が降雨中止となり、CT2位争いの決着は6日に持ち越しとなった。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの開催地も未定のままだが、阪神はみやざきフェニックス・リーグで“オレ竜調整”導入を検討。本紙評論家の得津高宏氏(67)も下克上実現に向けて緊急提言を行った。

 当初、和田監督をはじめ一軍メンバーは5日に宮崎入りし、6日からフェニックス・リーグで実戦調整を行う予定だった。しかし、台風18号の接近で宮崎空港を発着する飛行機が欠航。5日、6日は甲子園球場での練習に変更された。

 1日に今季最終戦を終えており、11日のCS開幕まで中9日。実戦感覚を失わないための「宮崎合宿」が日程短縮となり、投手陣の調整不足という大きな不安が発生した。そこで中西投手コーチは「7日はDeNAにお願いして試合を延長。そして、ずっと攻撃してもらうかもしれない」という“奇策”を披露した。

 2010年10月、リーグ優勝した落合中日はCSに備えて宮崎で実戦調整。悪天候の中で行われた韓国LG戦では試合時間を短縮しながら投手陣の登板イニングを確保するため、5回から延長12回まで自軍の攻撃なしで守りっぱなし。この超変則ルールで予定していた調整を強引にやり切った。虎首脳陣も万全の態勢で決戦に臨めるようにあらゆる策を練っているのだ。

 そんな虎軍団にロッテOBで内情をよく知る得津氏も、CS突破の秘策を伝授する。ロッテは10年にリーグ3位から日本一という下克上を果たした。得津氏は当時を振り返りながら「『下克上』という言葉を生んだことが大きい。里崎が言いだして周りも乗せられた。彼はお祭り好きだし、頭がいいからそうやってチームを鼓舞した。阪神もそういう雰囲気を作るべき。『下克上』のようなフレーズも大事になる。“虎の里崎”出現に期待したい。“目立ってやろう”“巨人を食ってやろう”という気持ちを前に出す選手が増えれば、結果はついてくる」と力説する。

 今回のCSの結果は契約最終年の和田監督の去就にも大きな影響を及ぼす。過去4度はすべてファーストステージ敗退という苦手を克服するためにも、万全の準備と“虎の里崎”が必要だ。