菅野本人はまだ今季中の復帰をあきらめず、原監督も「少し成り行きを（見守る）。まだ時間というものがあるわけですから。どういう形になっても、チームとして戦うということには変わりない。本人も一生懸命コンディションを作るでしょうし、チーム全体でそうなる（早期復帰）よう、願うでしょう」としたが、現実的に首脳陣は、ポストシーズンを「菅野抜き」で戦う覚悟を決めなければならなくなった。

　ＣＳファイナル、日本シリーズで菅野が期待されていた役割はもちろん「投手陣の軸」としての活躍。ではそんな菅野の代わりを誰が務めるのか。

　ポストシーズンでは先発投手が５人必要として、杉内、内海、小山、澤村の４人はまず確定。５人目はセドンか、今村、もしくは故障離脱中の大竹が間に合うかどうか…というところだ。

　そんな状況下「菅野の代役は澤村しかいません」と断言するのは本紙評論家の得津高宏氏だ。

「澤村はなぜかチーム内での評価が低いようですが、パの球団が一番やっかいな存在として認識しているのが、澤村なのです。パにも速球派の投手はいるにはいるのですが、澤村のようなズドンとくる大砲のような速球投手は先発ではほとんどいない。日本ハムの大谷とはまったく違ったタイプです。強いて言えばオリックスの佐藤達が似たタイプですが、佐藤達が先発でブンブン投げたら、パの打者は相当てこずりますよ。チーム内での澤村は、コントロールがばらついて不安定に見えるのでしょうけど、相手からしたらこれほど的が絞れず、やっかいな投手はいない。外から見たら『嫌な投手だなあ』という典型的なタイプで、まさに相手の嫌がることをやるという、短期決戦向きの投手だと思います」

　確かに昨年の日本シリーズで２敗を喫した杉内をあてにするのは…だろうし、一昨年の日本シリーズでＭＶＰに輝いた内海は今季は不調。菅野離脱となったこの日のＤｅＮＡ戦でも、だらしなく逆転３ランを浴びて敗戦投手となった。今季ブレークした小山に大役を任せるのも荷が重い。

「澤村は日本ハムとの日本シリーズで中田を死球で骨折させた。あれでいいんです。内角の出し入れで相手の腰を引かせ、細かいコントロールなど気にせずガンガン攻める。守りにさえ入らなければ、あの球威ですから、打者としてこれ以上嫌な投手はいない。シリーズの流れをつかめるはずです」（得津氏）

　エース離脱という非常事態を招いたからには、腹をくくるしかない。果たして原監督はＣＳ、日本シリーズ第１戦の先発に誰を選ぶのか。