10月に入り、プロ野球では各球団で戦力外通告が始まった。寂しいニュースが各地で飛び交ったが、そんな中、よりむなしい声がチーム内外で響きわたったのが中日。1日、堂上剛裕外野手(29)や中田亮二内野手(26)、小田幸平捕手(37)ら10選手に、来季の戦力構想から外れていることを伝えた際、球団側に落合博満GM(60)が不在だったことなど、その“やり方”にブーイングが起きているのだ。

 中日は本拠地での今季最終戦となった1日のDeNA戦に4―2で勝利した。この白星で今季、ナゴヤドームでは33勝32敗2分けで2年ぶりに勝ち越しとなったが、すでに1986年以来の2年連続Bクラスが決定しており、試合後のセレモニーで谷繁兼任監督は「皆さまの応援と期待に応えることができず、申し訳なく思っております」とファンに謝罪。監督就任2年目の来季に向けて「監督、コーチ、選手、チームスタッフで、必ず立て直し、ここナゴヤドームで最高の報告ができるように戦っていくつもりです」とリベンジを誓った。

 そんな結果を受け、落合GMは粛清を断行。第1弾として、この日の午前中に名古屋市内の球団事務所で堂上剛、中田、小田、辻孟彦投手(25)、井上公志投手(26)、矢地健人投手(26)、田中大輔捕手(29)、森越祐人内野手(26)、井藤真吾外野手(24)と育成選手の宋相勲外野手(21)の10選手に対して戦力外通告が行われた。ところが、その席に球団側からは西山球団代表と球団職員だけで、彼らの解雇を決定したはずの落合GMの姿はなし。これにチーム内外からブーイングが起きた。

 選手の1人は「(落合GMは)『その任にあらず』ということなんでしょうが、クビを切られるのは自分の人生において重要な日で簡単な一日じゃない。こういう日にGMと話をすることなく去るのは非常に残念」と悔しそう。中日OBも「考えられないよね。プロの世界だから実力がなくてクビになるのは仕方がない。だけど、責任者ならば、その理由を説明してあげるなりするのが当たり前でしょ。せめて『ご苦労さん』ぐらい言ってあげられないのか」と憤った。

 また、球団に呼ばれた時刻が10選手全員同じだったため、1人の選手が球団側と話をしている時、他の選手は順番待ちでうろうろ。待っている選手がいるから、それぞれ球団と、じっくり話もできないまま“ところてん式”で終了となり、これにも、ある選手は「あり得ないでしょ。寂しい」とポツリ。球団関係者も「もう少し敬意を払ってあげるべき。こんなことじゃ、誰も中日に来たくなくなるよ」と心配そうに話した。

 選手の契約更改交渉には参加する落合GMが戦力外通告に同席しなかったことについて、西山代表は「戦力外通告は、代表である私がやるのが当然。私の名前で契約しているわけだから。契約交渉でもGMは脇に座っているだけですから」と説明したが、クビを切られた選手たちは到底納得できないのではないか。