ソフトバンクは1日、今日2日のオリックス戦に向け、ヤフオクドームで最後の全体練習を行った。勝てば3年ぶりのリーグ優勝が決まる大一番。チームは5連敗中のどん底状態だったが、3日間の休養を経て選手の気合も復活した。中でも燃えているのが先発・大隣と4番・李大浩。今季最終戦にすべてをぶつけるつもりだ。

 前日(9月30日)の練習前、選手にゲキを飛ばした秋山監督も、決戦を翌日に控えたこの日はあえて何も言わなかった。以前から「優勝か2位か、そういうところで野球ができるのは6球団中、2球団だけ。幸せなことだよ」と話している指揮官。この日は1994年に巨人と中日が同率首位同士で最終戦を迎えた「10・8決戦」を引き合いに出し「短期決戦とは重みが違うだろう。積み重ねてきたものが違うしな。日本シリーズなら7試合だが、143試合は長い。そういうシーズンはなかなかない。過去に1試合しかない。野球選手の中でも経験している人は少ないんだからな」と、大一番に臨める喜びを口にした。

 投のカギを握るのは先発・大隣だ。オリックスとは今季2戦2勝。9月16日には復帰後初の完封勝利を挙げた相性の良さを買われた左腕は「自分の中で緊張感は日々高まっているし、しっかりとチームを勝たせられるように頑張りたい」と勝利への意欲を口にした。

 7月に復帰してからは3勝1敗。マウンドでは以前よりも落ち着きを持って投げることができるようになった。「(復帰後は)自分の中で力みのない、いい感じで投げられている。そこを崩さないようコントロールできれば結果が出ると思う」。表情を引き締めたが、決戦前夜は勝負メシである唐辛子抜きのペペロンチーノを「食べてきますよ」と明るさはいつも通りだった。

 一方、打のキーマン・李大浩は「有終の美」を飾るつもりだ。「準備はできている。意識してしまうと逆効果なので、普段どおり平常心でいく。ミスがなければ勝てると思うし、集中力を持ちながらやりたい」。

 今季、143試合で4番に座ってきた。「シーズン中もずっとドキドキして眠れなかった。それとは比べられない」。これまでずっと背負ってきた重圧は、もはや苦ではない。打点などの個人成績に満足できていない状況なだけに「個人成績はすべて足りない。でも優勝すればすべてOKになる。終わり良ければすべて良しという言葉の意味も知っている」と白星締めを誓った。

 この一戦に敗れても優勝の可能性は残るが、チーム全員、勝って優勝という気持ちしかない。秋山ホークスが最後の決戦でその真骨頂を見せる。