阪神の逆転2位が現実味を帯びてきた。28日に広島が敗れたことで自力で2位に浮上する可能性が復活。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの本拠地開催、和田監督の進退がかかっているとあって球団フロントや指揮官は闘志満々だ。当然、虎ナインも燃えていると思いきや…。微妙な“温度差”が生じている。

 10月1日の広島との直接対決を含めた残り3試合を全勝すれば、広島が阪神戦以外の3試合にすべて勝っても阪神の2位が決定する。

「何としても甲子園でCSをやりたい」「全部、勝つつもりでやる」――。これまでも2位浮上への強い思いを口にしてきた和田監督も自力2位の可能性が復活しただけに気持ちを高ぶらせているだろう。

 球団フロントも2位死守を厳命している。本拠地・甲子園でCSを開催できれば数億円の収入が見込めるが、3位で終わるとゼロになってしまう。さらに、球団では8月下旬までに契約最終年となっている和田監督の続投方針を固めており、来季に向けてのチーム編成もスタートさせている。まずは2位を確保して本社サイドをはじめ周囲を納得させて“予定通り”契約を更新したいところだ。

 しかし、肝心の選手は意外にも冷静だ。ある主力ナインは「全部勝てって言われても…。こっちは目の前の試合を必死にやっていくだけ。それで結果につながるかどうかでしょう。先のことを考えてもいいことはない」と淡々と話す。

 別のナインも「周りは甲子園じゃないと勝てないみたいなことを言うけど、やっている方はそんなことは思ってない。甲子園でやれればいいと思うけど、マツダでも自分たちがやることは変わらない。それほど大きなことだとは考えていない」とクールそのものだ。

 こんな選手の心情をチーム関係者は「フロント幹部が和田監督に残り試合全部勝て、というようなことを言ったようだけど選手にしてみれば毎日、勝つつもりで必死にやってきたわけだからね。今さら、そんなことを言われてもって感じでしょ」と分析。正念場でのフロント、和田監督とナインの温度差は気になるところだ。

 ただ、球団関係者は「重圧に弱い部分があるし、こうやって冷めているぐらいの方がいいかもしれない」と前向きに考えている。残り3試合。冷静沈着な虎軍団が逆転2位に挑む。