広島のブラッド・エルドレッド内野手(34)が21日のDeNA戦(マツダ)で35号2ランを放ちチームの逆転勝ちに貢献した。負ければ3位転落の可能性もあった一戦での値千金の一発に「やっぱり勝ちを決定付けるホームランはいい。ああいう場面で一発打てたのはよかった」とニッコリ。これで近日中に帰国予定のヤクルト・バレンティンに4本差をつけ、本塁打王のタイトルをほぼ手中にした。

 さらにチームにとってこの日の一発が“新ポーズ”お披露目のきっかけにもなりそうだ。これまで味方が一発を打った際、ベンチでエルボーハイタッチや敬礼ポーズで出迎えるのが通例だったが、一方でシーズン終盤戦やクライマックスシリーズ(CS)に向けての“新バージョン”が温められていた。それは「その一発に満足しないようにあえてタッチせずに目を見てうなずくだけ」(赤松)という“ノータッチ出迎え”。この風変わりな祝福をエル砲が劇的な一発を放った時に“解禁”となるはずだった。

 なのに8月に入ってエルドレッドが絶不調に陥り二軍降格…。チームの本塁打数も激減し、完全にお披露目の機会を失っていたが、この2試合の復活ののろしでV字回復の兆しになり、再びチャンス到来。次の一発あたりでようやく解禁の運びになってきたから盛り上がらないはずがない。チーム関係者も「こういう厳しい状況だからこそ新ポーズなどで乗っていくのはいいこと」と声を大にする。球団史上初のCS開催、そしてCS本番を勝ち上がるためエル砲への期待は高まるばかり。ノータッチ出迎えでラストスパートだ。