<広島3-2DeNA(21日)>キング当確! 広島が21日のDeNA戦(マツダ)を3―2で制し、連勝を飾った。先発したエース・前田は6回に逆転を許すも、7回2失点の好投。すると8回に4番・エルドレッドが逆転アーチを放った。チームは負ければ3位転落の可能性もあった正念場だったが、不調に苦しんできた主砲が値千金の一振りでチームを救ってみせた。

 エルドレッドが完全復活だ。1点を追う8回、無死一塁の場面で打席に入るとDeNA・林から左中間への逆転2ラン。試合終盤での逆転劇に超満員となった3万1796人のファンは大盛り上がりとなった。助っ人は「やっぱり勝ちを決定付けるホームランはいい。ああいう場面で一発打てたのはよかった」と喜びを爆発させた。

 どんな逆境でもブレない心の持ち主だ。ここまで本塁打を量産する好調ぶりで打線をけん引してきたが、8月に入ると急失速。一軍と二軍を行き来する生活となった。それでもポリシーは変えなかった。二軍でも「上がったり落ちたりで難しい面はあったが、自信があるので時間がたてば取り戻せると思っていた。時間が解決してくれると思っていた」とフォーム改造などには着手せず、自らのスイングを貫き通した。

 この日の一発で35本塁打に到達。本塁打争いで2位に付けるヤクルト・バレンティンが左アキレス腱治療でこの日の試合で登録を抹消されるため、本塁打王は決定的な状況となった。そんな主砲の復活を野村監督は「一番いいところで打ってくれた。吹っ切れたところがあると思う」と喜んだ。

 先発・前田は1点リードの6回に2点を奪われて逆転を許した。ただ、状態が悪いながらも粘りの投球で逆転劇をアシスト。「2点目を取られたのはよくなかった。あの回は反省点。満足できる内容ではない」と猛省を口にしたエースだが、チームの白星に「こういう試合で逆転して勝てたのはよかった」と安堵の表情を浮かべた。3位・阪神との差を引き離し、18年ぶりに70勝に到達した赤ヘル。指揮官は「まだ試合は続くし目標がある。残り10試合、一つひとつ勝っていきたい」と気合を入れ直していた。