セ・リーグ首位を走る巨人が今季最大の正念場に挑む。9日の阪神戦(甲子園)から始まる9連戦を前にチームは8日、大阪入り。先発投手陣は移動前に練習した。伝統の一戦では、右手中指の腱を痛めて離脱していたエース・菅野智之(24)が復帰予定だ。ところが、この右腕のカムバックが逆に阪神の闘志に火をつける格好となってしまったようで――。

 G先発投手陣は8日午前、ジャイアンツ球場に集合。9連戦に向けそれぞれが最終調整を行った。7日から一軍に合流した菅野はブルペンで44球。先発が予定される阪神戦の2戦目(10日)に向け「開幕投手を任せてもらったということは『シーズンをおまえ中心で回していく』ということ。その中で離脱してしまったのは悔しい。CS、その先の戦いもある。しっかり存在感を示したい」と意気込んだ。新横浜駅で取材に応じた原監督も「彼には時間を与えたわけだから」と伝統の一戦で復帰するエースに期待を寄せた。

 だが、不安は多い。ブルペンを見守った川口投手総合コーチは「菅野? 状態いいよ。力を入れられているからいいんじゃないかな。甲子園でいい投球をしてくれればいい」と太鼓判を押すものの、4日のイースタン・ロッテ戦(ジャイアンツ球場)では予定の3回を持たず2回46球を投げ、7安打3失点。最速149キロをマークし復調をアピールした一方で、調整登板としては物足りない結果に終わった。

 決して万全の状態とは言えない中、エースをマウンドに上げる巨人。そんな“見切り発車”に青筋をピクつかせているのが阪神サイドだ。

 菅野の阪神戦登板を聞いたチーム関係者は“たたき台にされた”とばかりに、怒りをあらわにする。「菅野は本当にウチとの3連戦で投げるんですか? 二軍戦で打たれていたから、もう一度下(ファーム)で投げると思っていたんですけどね。ウチ相手にまずは100球ぐらい投げてっていう考えなのかな。だとしたら、随分ナメられたもんですね」

 巨人には故障明けの菅野に頼らなければいけない事情がある。大竹が7日に右肩筋肉の違和感で登録を抹消されるなど、現状は相変わらずの先発不足。9連戦でエースを復帰させるのは当然で、阪神、さらには次週の広島と当たる表ローテで投げさせるのがチームにとって最善策なのは言うまでもない。

 ところが菅野の復帰でライバルをおじけづかせるはずが、逆に敵の闘志に火をつける格好となってしまった。

 阪神について「今は失速ぎみですけど、乗らせたら怖いのはわかっている。(プレーオフに向け)しっかりと封じ込めなければいけない相手」と話した菅野。敵地・甲子園での復帰戦は厳しい状況下でのマウンドとなりそうだ。