3位・阪神が2日のDeNA戦(甲子園)で4―3と逆転サヨナラ勝利を決めた。土壇場で下位球団相手の“取りこぼし3連敗”を回避。いよいよ「勝負の9月」に突入したが、戦いぶりは依然として重苦しい。そんな雰囲気を打破するため首脳陣は和田豊監督(52)が“封印”していた「マウンド激励」の解禁を熱望している。

 1点を追う9回一死二、三塁の場面で福留は敬遠。満塁となるとベンチから出てきた和田監督が打席に向かう今成にささやいた。「あまり熱くなりすぎるなよ。ここは直球一本しかない。最短で振っていけ!」。この日、3打席3三振だった今成だが、見事に2点タイムリーとなる左前打を放ち、逆転勝利を決めた。

 何とか首位・巨人とのゲーム差2・5をキープしたものの、試合内容は劣勢だった。初回に3点を先制され、打線も5回までわずか1安打と完全に敗色ムード。チーム関係者も「最近、とにかくベンチの雰囲気が重い。本当の勝負は9月中旬ぐらいからなのに…」と嘆くほど重苦しい雰囲気が漂っていた。

 今後、優勝争いが佳境に入れば、この日のように攻守ともに切迫した場面が激増する。そこでコーチ陣は勝負どころで指揮官がナインに直接、ゲキを飛ばすことを期待している。コーチの一人は「これからは選手の緊張も高まってくる。監督が闘志をむき出しにして動くことで選手も気持ちが高まって緊張感も吹っ飛ぶ。どうしても1点がほしい場面ではベンチを飛び出して打者にひと声かける。1点もやれない場面ではマウンドに行って投手を激励する。勝負の9月はどんどんやってもらわないといけない」と訴える。

 実は和田監督は就任以来5度、マウンド激励を行っているが、勝利に結びついたのは1度だけ。今季も5月8日の中日戦(ナゴヤドーム)で和田監督がマウンドに行った直後にサヨナラ負けを喫している。それでもチーム関係者は「なかなか結果につながらなかったことで、ちゅうちょしてるのかもしれない。ただ、もう気にする時期でもない。勝負どころで動いて選手を奮起させてほしい」とチームを鼓舞するために“封印”を解くことを勧めているのだ。

 いよいよ運命が決まる9月戦線。最後のキーマンは和田監督自身だ。