<阪神5-4巨人(27日)>今の巨人の苦しいチーム事情が試合展開にも表れた。主導権は先に握った。初回二死一、三塁で、村田が右翼席に通算1500安打となる先制の17号3ラン。先発・小山も6回途中1失点と試合を作り、中盤までは完全に巨人ペースだった。

 だが追加点を奪えず、徐々に流れは阪神へ。8回に頼みの山口が1安打3四死球の乱調で同点に追いつかれて延長戦に突入すると、10回には守護神のマシソンがゴメスに痛恨の勝ち越し2ランを被弾。阿部が呉昇桓から2試合連発の16号ソロで1点差に詰め寄る意地を見せたが、それまでだった。

 原監督の口ぶりにはまだ余裕が浮かんではいたが、言葉は前夜ほど続かない。「(村田の本塁打の後に)なかなか1点が取れなかったというところ。ウチの戦うスタイルで今日は戦ったが…」と苦笑いで振り返った。

 不振が続いた主砲の阿部と村田が、揃って一発を放ったことは光明だ。これには指揮官も深くうなずいたが、逆に言えば2人のアベック弾が飛び出しても勝利に結びつかないのが、今季の苦しい戦いを象徴している。

 故障者続出の影響で、この日の外野陣は、右翼・橋本、中堅・大田、左翼・中井という若い顔ぶれとなった。指揮官は「試合になったら、けが人のことは頭にないんだけど」と強気に語ったが、“代役組”の大田と中井は揃って無安打。若い下位打線の沈黙が、痛い敗戦につながったともいえる。

 右ヒザを痛めている長野を始め、故障中の主力がスタメンに顔を揃えるまでには、もう少し時間がかかる。首脳陣としては頭が痛い状況だが、大田ら若手にとっては今がアピールの絶好機。ヤングGの奮起なしに、巨人のリーグ3連覇は見えてこない。