大阪桐蔭が優勝を確信した「塞翁が馬伝説」

2014年08月26日 16時00分

夏4度目の優勝を決めて抱き合う大阪桐蔭ナイン

<ズームアップ甲子園>第96回全国高等学校野球選手権大会は25日、決勝が行われ、大阪桐蔭(大阪)が4―3で三重(三重)に逆転勝利。2年ぶりの全国制覇を果たした。例年に比べてスター不在と言われ、注目度も高くなかった現チーム。それでもナインは大会前から「今年は絶対優勝できる」と確信していたという。その根拠は6月に起こったある“ジンクス”だった。

 

 大阪桐蔭は三重の好投手・今井(3年)に苦しめられたが、1点を追う7回裏、主将・中村(3年)の2点タイムリーで逆転に成功。2年ぶりに深紅の優勝旗を手中にした。

 

 藤浪(阪神)や森(西武)を擁した2年前に比べて「地味」と言われてきた今のチームは昨秋の府大会でも履正社にコールド負けするなど、前評判は高くなかった。

 

 夏に向けて厳しい練習に取り組んでいたナインの支えになったのが「うれしいアクシデント」だった。

 

「6月に監督が車の前面を練習場の敷地内のブロックにぶつけてしまったんです。これで、僕らは優勝できる、と勇気付けられた」(ある選手)。巨漢の西谷監督が代車のコンパクトカー通勤を余儀なくされ「ぶつけたバンパー以上にへこんでいた」(前出の選手)というが、これがなぜ選手たちを喜ばせたのか。

 

「実は、過去の夏の大会でうちが優勝した時はいつも府大会前に指導者が事故っていたんです。(現西武の)浅村さんのいた2008年は田中コーチが寮の門にぶつかったし、2年前(12年)は有友部長が高速道路で後続に衝突される事故がありました。幸い軽傷ですみました」(同)

 

 事故にあった当人にしたらたまったものではないが、そんな災いが優勝につながる「塞翁が馬伝説」をナインたちも知っていたわけだ。

 

 今大会は他にも吉兆があった。大会直前に全員でガリガリ君を食べていたら西谷監督だけ当たりが出た。「ミラクルが起きた。もともと野球に関しての分析や理論がすごいのはわかっていましたが、これだけ何かを持っている監督についていけば絶対間違いはない、と確信しました」(別の選手)。決勝でも相手の強い当たりが投手のグラブに吸い込まれたり、ピンチで相手のスクイズを外したりと、西谷監督を中心とした勝負強さが発揮されている。

 

「子供たちの頑張りには敬意を表したい」と最後まで温かい表情を見せた西谷監督。“吉兆ジンクス”をまたも現実とし、選手と監督の信頼感がVをたぐり寄せた。