逆転Vを狙う阪神は26日から敵地・東京ドームで巨人との首位攻防3連戦に臨む。25日現在、1・5ゲーム差。3連勝すれば首位浮上、逆に負け越せば自力Vが消滅という、まさに天下分け目の決戦だ。この大一番を前に和田豊監督(51)は昨年の“大失態”を繰り返さないためにも「平常心作戦」を敢行している。

25日、広島から空路上京した和田監督は「今年はまったく力みがない。去年は鼻息が荒かった。“ここで勝たな!”みたいな気持ちで入った。今回はまったく違うよ」と穏やかな表情で心境を明かした。その上で「いかに選手も平常心で戦えるか」と決戦前の心構えを説いた。

 ここ数年、大事な試合でことごとく負けてしまうという状況が続いており、8年間もリーグ優勝から遠ざかっている原因にもなっている。昨年も最大のヤマ場だった8月27日からの巨人3連戦で3タテを喫し、そのまま大失速。あらためて“勝負弱さ”を痛感するシーズンとなった。

 その反省もあって和田監督は「平常心」を強調しているのだが、この心理状態をナインに浸透させるために手を打っていた。球団関係者は「昨年と違って和田監督は過度に巨人を意識させるような発言や様子を見せなくなった。『勝負は先、9月』という発言を繰り返している。おかげで、みんな巨人を過剰に意識せず平常心で今回の3連戦を迎えられる」と指摘する。

 効果も上々だ。主力投手は「監督が昨季よりリラックスしているのはベンチやミーティングなど様々なところで感じる。それがチーム全体にも伝わっていてリラックスできているよ」と本来の力を発揮できる心理状態をキープしていることを明かす。

 さらに、今回は虎ナインが肩の力を抜くことができる戦況だ。

 昨年は天王山に臨む時点で首位・巨人とは5ゲーム差。勝ち越さなければV逸が決定的になってしまうという崖っ縁の状況だった。しかし今回は万が一、負け越しても、まだまだ挽回できる。球団関係者も「昨年は気合を入れすぎた結果、力みや緊張感を生んで力を発揮できなかった。今年は1・5ゲーム差。1勝2敗でも2・5ゲームだし、選手もそれほど緊張感は感じていない」という。

 悲願のリーグ優勝に向けて「平常心の虎」が東京ドームに乗り込む。