藤浪&梅野の若虎バッテリーは勇気が足りん!

2014年08月24日 11時00分

マウンドで話をする藤浪(左)と梅野

 阪神が粘り強い戦いを続けているが、3位・広島も含めての激しいV争いはこれからが本番だ。そんな中、本紙専属評論家の大下剛史氏は和田豊監督(51)の采配を虎好調の最大要因と指摘。その一方で、藤浪晋太郎投手(20)と梅野隆太郎捕手(23)の若いバッテリーに成長のための注文をつけた。

 

【大下剛史 熱血球論】阪神の好調のの原動力となっているのは和田監督の覚悟だ。3年契約の最終年で腹をくくったのであろう。それが采配を見ると伝わってくる。例えば上本だ。もともとは西岡の故障で「1番・二塁」を任せたが、その後はしっかりとレギュラーに定着させた。調子を落とした時も西岡が一軍に復帰した時も変わらずだ。上本は攻守ともに素晴らしいセンスを持つ。覚悟を決めて信頼し、起用し続けることで、その実力を発揮した。

 

 和田監督は、実績ある福留を相手投手の右左で先発落ちさせているが、こうした選手起用もこれまでの阪神ではできなかったこと。そうした監督の覚悟はチーム全体に伝わる。トップが腹をくくっているチームは強いものだ。2年目の金田をプロ初先発させた21日の中日戦もそう。結果的に金田が5回2失点と好投し勝利したが、あれは「負けも覚悟」の采配。順位争いが激しくなる中、普通は「1試合も負け試合を作りたくない」と思うところだが、和田監督は「負け試合」を作り、さらに勝利した。

 

 このように監督が先を見越し、負けを覚悟してかじを取れるチームは強い。この覚悟に応えた金田が今後のチームに好影響をもたらすのも間違いない。ペナント争いは巨人、阪神、広島の三つ巴になるだろうが、カギを握るのは指揮官がどのように動くか。その点、腹をくくった和田監督の存在は阪神にとって強みになる。

 

 一方、不安も見えた。22日の広島戦で先発し、5回4失点で負け投手になった藤浪とルーキー・梅野のバッテリーだ。藤浪の被安打6はすべて左打者によるもの。スリークオーター気味の投球フォームのため、左打者がボールを見やすいということはあるが、一番の原因はそこではない。勇気だ。

 

 勇気を持って胸元を突くスライダーを投げてほしい。この日はそれが見られず、配球は外角に集中していた。いくら外角を突いても内角への恐怖がないから左打者に踏み込まれてしまう。ここまで来たら「生きるか死ぬか」。いわば喧嘩だ。打者に当たってもしかたないというくらいの勇気を藤浪と梅野は持たなければならない。梅野もデビュー当初は内角を効果的に突くリードをしていたが、プロの怖さを知ったことで大胆さがなくなりはじめている。

 

 この日の広島先発の前田健太は初回、先頭の上本にいきなり死球を与えた。もちろん狙ったわけではないが、内角を厳しく突こうとしたからこその結果。それによって阪神打線は腰が引けていた。そうした勇気が阪神の若いバッテリーにも必要だ。

 

 もちろん、この大事な試合でルーキー捕手を起用しているのも、和田監督が腹をくくったからこそ。藤浪も梅野も将来の阪神を背負う選手。和田監督は先の先、もしかしたら自分がいなくなっているかもしれない阪神のことまで考えて、優勝争いを若い2人に経験させていると思う。その指揮官の覚悟に藤浪も梅野も応えなければならない。(本紙専属評論家)