聖光学院の過酷な精神鍛錬「地獄の山下り」はクマも出没

2014年08月22日 11時00分

石垣のサヨナラスクイズで生還した安田(右)。逆転勝利に大喜びの聖光学院ナイン

【ズームアップ甲子園】聖光学院(福島)が近江(滋賀)に劇的な逆転サヨナラ勝ち。0―1で迎えた9回裏、無死一塁から4番・安田(3年)がセーフティーバントを決めチャンスを広げると、犠打と野選で同点。最後は一死一、三塁から7番・石垣(3年)がセーフティースクイズを決めた。


 追い込まれた状況にもかかわらず涼しい顔で3つのバントを成功させた聖光ナイン。これは過酷な精神鍛錬により鍛え上げられたものだ。聖光学院といえば、毎年6月上旬に行われる“寝ずの合宿”が恒例。週末の3日間、不眠不休で練習と試合に取り組むことにより、どんな厳しい状況でもいつも通りのプレーを行う不動心が育てられる。


 さらには“地獄の山下り”というものがある。「夜中の12時過ぎに、学校の近くの吾妻山の頂上付近にバスで行き、1時間ぐらい満天の星を眺めます。流れ星も多いので、感性を鍛えられるんです」。ナインはそう説明するが、それだけで終わらない。「自然の恵みを感じながら、懐中電灯を持って山を下ります。下山時刻は朝の7時ぐらいですね」


 この時、ナインが闘うのは野生動物の“脅威”。山中にはイノシシやサルのほか、クマも潜んでいる。メンバーは個々が約20メートル間隔を開けて下りるが、途中のガードレールにはクマの引っかき傷が残っていたり、実際に子グマを遠方に目撃したこともあるという。もちろん、引率の責任者はおり、選手たちは事前にクマ対策の指導を受け、各自クマよけの鈴も身につける。それでも深夜の山道の恐怖は想像に難くない。


 安田は「土壇場での力が鍛えられました。ピンチ、チャンスとどんな場面でも心は動かない」とトレーニングの成果を強調。何が起きても聖光学院ナインは動じず、頂点を目指す。